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これからの時代の新しいハラスメント対策

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

昨日、中小企業のハラスメント対策について一緒に何かできないか?と、友人であり経営者仲間である本間弁護士と話していたとき、ふと、ビジネスの師匠である高田稔先生が過去にしてくださったお話しが頭をよぎりました。

たくさんのミカンが入った箱入りのミカンを想像してみてください。その中に「腐ったミカン」が1つ入っていたとしましょう。その腐ったミカンをそのまま放置しておくと、どうなるでしょうか?容易に想像はつきますよね?はい、皆さんのご想像どおり、他のミカンも腐ってダメになってしまいます。

高田先生は、これは企業にも同じことが言える、とおっしゃっています。問題を放置しておくと、他の問題へと発展していってしまう。従業員が1人でも不満を抱えて仕事をしていると、それは他の従業員にも伝染していってしまう。そして、それは企業の大きな損につながっていく。だから「腐ったミカン」は1つしかないときに、取り除いて(対処して)しまうことが大事なのだと…。

そんな高田先生の話がふと頭をよぎったとき、ハラスメント対策はハラスメントの被害にあった人をフォローするのはもちろんのことなのですが、ハラスメント加害者(以下ハラッサー)を手当てしていくことも大事だということに気づかされました。というのも、多くの場合、ハラッサーがハラスメントを通して表出している”怒り”や”攻撃性”の下には、ハラッサー自身の過去の傷つき体験を通して生じた”怖れ”や”悲しみ”、”恥”などの感情が影を潜めているからです。ハラッサーの特徴を探っていくと、「自己愛性パーソナリティ障害」という言葉に行き着くことがよくあります。これは精神医学的な診断になりますが、私が尊敬する臨床家のひとりである伊藤絵美先生は、その特徴を自身の著書『つらいと言えない人が、マインドフルネスとスキーマ療法をやってみた。』で、完結に、そして、わかりやすく、こう説明しています。

”「本当は心がうんとつらかったり心細かったりするのに、それを自分で認められず、つらさや心細さを隠したり、それらに対処するために、かえって不健全な自己愛で凝り固まってしまい、それによってさまざまな不具合が生じたり、対人関係がうまくいかなくなったりする」というものです。こういう人は周囲にとってはいけ好かない「オレ様/女王様」として映ります。ですが、心のなかはつらさや心細さで本当はいっぱいなのです。しかしそのことを自分でも認められません。そのうちに何らかの不具合が身体や対人関係に生じます。しかしその不具合を素直に認めて誰かに「つらい」「助けて」とも言えません。「上から目線」で、「なんとかしろ」と要求するだけです。”

ハラッサーは、言葉や暴力を通して自分の優位性を担保しようとします。これは心理学的に「価値下げ」と言われる行為です。相手の価値を下げる言動を通して自分の価値を相対的に上げ、自分の優位性を維持させることがその目的なのですが、裏を返せば、そうすることでしか自分の価値を保つことができないほど、精神的に不安定であるとも言えるのです。

このような精神的に不安定だったり、安定した自己イメージを持てなかったり、また、他者と情緒的につながれない(共感的になれない)人たちは、過去の傷つきが十分に手当てされていないケースが多く見られます。しかし、彼らにとっては、その体験過程の中で生じた”怖れ”や”悲しみ”、そして”恥”という感情は「弱さ」の象徴であり、それを無意識のレベルで遮断しています。「感情なんて自分には必要ないもの」、「感情よりも理性が重要なんだ」と、感情を「無視」してきて生きてきたハラッサーの目には「感情」は価値のないものとしか映らないが故に他人の「感情」も当然のことながら大事にすることはできず、感情を出す人は「レベルの低い人」として見下します。一見すると「オレ様」的で高圧的なハラッサーですが、実は、「つらい」と言えない、そして「上から目線」でしか接することができない、独特で、そして、複雑な心の苦しみを抱えていたりするのです。なんだか、ややこしそうですよね?

企業でハラスメント対策をしたり、実際にハラスメントの事案が見受けられるときには、ハラスメントを受けた方の心理的なサポートだけでは不十分だと個人的には思います。潜在的なハラッサー予備軍やハラッサー個人へのリーチアウトが重要なポイントですが、そのややこしい本質に切り込んでいくためには、それなりの経験を積んだ専門家の知識と技術が不可欠です。

ハラスメント対策は企業が取り組むべき緊急を要する課題の一つ。というのも、人材を確保するのが難しい今、いかに「辞める人を出さない職場」をつくるかが、企業の将来を決める重要な鍵であるからです。「つらい」と言えないハラッサーの傷つきをケアする、これからの時代の新しいハラスメント対策。経験豊富な臨床心理士がサポートさせていただきます。

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臨床心理士  向 裕加

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