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一緒に感情を味わうことの大切さについて

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

昨年末にアメリカから帰国して札幌に戻る途中、東京で開催された加速化体験力動療法(AEDP)のワークショップに参加しました。そのときの参加者に講師の花川ゆう子さんから定期的にメルマガが送られてくるのですが、昨日送られてきたメルマガを読んでハッとさせられました。というのも、内容が、まさに「私と父」の関係性そのものだったからです!

30代の半ばくらいまで、私はいつも低い自己肯定感に悩まされていました。どんなに周囲から「すごいね〜!」とか「頑張っているよね」と言われても、それを素直に受けとめることはできないどころか、不完全な自分を責めたり恥ずかしく思ったりして、いつも「まだ、頑張らないと!こんなんじゃダメだ」と完璧主義的な面も多々ありました。ミスをすると、ずっとそのことを考え込んでは落ち込んで、悪循環に陥るということもしょっちゅうで、周囲からの評価とは裏腹に、私はいつも自分に自信がない人間でした。かつて「ゆかの両親は、良い両親だよね。ゆかのことを理解して、全力でサポートしてくれる。羨ましい」と高校の同級生が言ってくれたように、父は私のやりたいことを全面的にバックアップしてくれる「良い父親」でした。人並みにケンカもしましたが、基本的にはサポーティブで、もちろん暴力を振るうような人間ではありませんでしたし、暴言を吐かれたこともありません。そういう意味では、何が問題だったのか?と思われるかもしれませんが、私はメルマガのこの一文にハッとさせられました。

”達成や努力に対する明確でポジティブなフィードバックの欠如はダメ出しをもらっているのと同じように処理されるのだ”

今でも時々思い出すことがあります。それは、小学生の頃に通知表を父に渡したときの表情。4年生か5年生くらいだったと思いますが、私としては良い評価をもらえたこともあって、仕事から帰宅した父に意気揚々と「はい!」と通知表を渡したのですが、通知表を見た父は表情を変えることなく、「うん」とただ一言。「『うん』だけ?他には何もないの?」と訊く私に対して、父は「あぁ…。頑張ったね」と言葉をかけるものの、その言葉には感情が伴っていないのを、子どもながらにも私は感じとっていました。高校に合格したときも、同じような感じだったことを覚えています。

そのような日々の経験の積み重ねの中で、私は無意識のうちに「これじゃダメなんだ。もっとすごいことを成し遂げないと、お父さんからは褒められないんだ」と思い込むようになったのでしょう。それが、父との間の出来事のみならず、一般的な出来事についても同じように考えるようになり、それが「不十分な自分は恥だ」という考えに繋がっていったように思います。自信が持てなかったのも当然ですよね。

私の知らないところで、父が私のことを誇らしげに自慢していたことを耳にしたことがあるので、決して、父は私のことを認めていなかったわけでもなかったことは知っていました。また、いつも「お前のやりたいことをやっていいよ」と言ってくれることから、愛情がある人だということもわかっていました。

でも、当時の私が父から欲しかったものは、そして、必要だったものは、私が何かを達成したときに一緒に喜んでくれたり、誇りに思っている様子を見せてくれたりするなど、ポジティブな感情体験の共有だったのかもしれません。そのとき私が体験していた「嬉しい」という気持ちを、父と一緒に感情レベルで味わいたかったのかもしれません。

私の父のように子どもの感情に寄り添うことを苦手をするとする父親が多いのは、日本の文化の中ではよく見受けられること。しかし、それを単純に「これが日本の文化だから」と片付けてしまうのではなく、感情に寄り添うことの大切さや感情レベルでのコミュニケーションがもっと活性化されるよう、感情の役割や扱い方について、心の専門家として、もっと啓蒙していかなければならないなぁ…と思う今日この頃です。そのためにも、来月のNYでのAEDPのトレーニングでは、この辺りもしっかりと学んできたいところですね!

ちなみに、私の父と母ですが、私が独立してからというものの、私が何か達成すると「よくやってるね」「頑張ったね」「すごいね」と自分のことのように喜んでくれます。内心、「もっと、早くに言って欲しかったわ!」と思う反面、照れくさいながらも、両親がそうやって一緒に喜んでくれたり、誇りに思っていることを率直に表現してくれるのは、いくつになっても嬉しいものです。

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公認心理師/臨床心理士   向    裕加

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