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不毛な恋愛の背後に潜む もったいないおばけ

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

昨日、Beauty Blossomの佐藤いづみ社長にお誘いされてビジネスセミナーを受講してきました。彼女と会うのは久しぶりのことで、セミナー後、会場近くにあるバルで一緒にお食事をしました。

話も弾んでワインも進み、ちょうどよい感じで酔いが回ったこともあって、なぜか、彼女に昔の失恋話をしてしまった私。失恋話の詳細はまたの機会(ってあるの?)にしたいと思いますが、その話をしていて、ふと思ったことがありました。

「もったいない」という気持ちから、不毛な恋愛を続けていたなぁ…と。その元彼とは4年半付き合っていました。カナダで知り合い、大学も衣食住も共にしていた間柄でした。最初の数年は楽しく過ごしていたのですが、一緒に住むようになって2年くらい経った頃からでしょうか、彼の嫌なところが目につくようになったのです。オンラインのビデオゲームが大好きだった彼は、大学にもいかず、ずっとパソコンの前でオンラインゲーム三昧。卒業がかかった試験直前ですらオンラインゲームに朝まで興じていて、結局、寝坊をして試験の時間には間に合わず、試験は受けることができませんでした。私は「それは自業自得!」と思っていたのですが、なんと、教授に嘘をついて再試を受けることに成功。自分の彼氏とは言え、この時ばかりは「なんて卑怯な奴なんだ!」と彼の人間性を疑いました。

大学を卒業後、私がこちらの大学院に進学するということで札幌に戻ってきたため、私が大学院を終わるまでの数年間、彼もこちらで働くということで札幌にやってきました。そこそこルックスが良かった彼は、勤務先の英会話学校では好かれていて、時々、生徒さんたちに誘われて、飲みに行くこともしばしばでした。それは全然問題なかったのですが、問題は時々お財布の中に2000円くらいしかなくても平気で飲みに出ていたということ。「お金ないから行けないでしょう?」と私が訊くと、「いや、いつもみんなおごってくれるから、お金を持ってく必要はないんだ」という答えが返ってきてビックリ!「いやいや、結果的におごってもらえたというのじゃなくて、端から”おごってもらう前提”で飲みに行くのっておかしいでしょ?」と言っても、「おごってもらえなかったことはないから大丈夫!」と聞く耳を持たない彼。みんなにチヤホヤされて、調子に乗っていたのでしょう。そんな彼のことを、実は軽蔑していました。

「この人の人間性、疑うわ」と、他にも彼に対する不満は山積み。明らかに、彼は私にとっては「良くないパートナー」だったにもかかわらず、私は別れることができず付き合い続け、彼に浮気をされて失恋の痛手をこうむる…ということになるわけですが、なぜ、私はこの元彼と別れることができずに、この彼との関係性に固執していたのでしょうか?

これは「サンクコストの誤り(sunk cost fallacy)」という心理が働いていたと思われます。

sunk=沈んだという意味。つまり、sunk cost=沈んでしまったコスト=もう取り返しのつかないコストという意味になります。ここでは何が取り返しのつかないコストか?というと、彼と付き合ってきた年月がサンクコストになるわけです。「これだけの年月を彼に捧げてきたわけだし、彼と別れたからと言って新しい人が見つかる保証もない。今はチヤホヤされて調子に乗ってるだけで、もう少し落ち着いたら、前のように良い彼に戻る可能性だってあるしね。今、別れてしまったらもったいない!」恐らく、そんな風に考えて別れられなかったのだと思います。

パートナーに投資してきたものが大きいほど、別れることが難しくなるもの。付き合って10年にもなるのに、結婚しようともしてくれない彼がいる女性に、おそらく周りの同性の友達は「そんな奴とは別れて、早く別の人と付き合って結婚しなよ!時間の無駄、無駄!」とアドバイスするでしょうが、その男性との関係性に固執しているのは、「サンクコストの誤り」の良い例でしょう。

どんなに頑張っても、相手を変化させるのは難しく、努力してきたコストを回収することはほぼ不可能です。なので、相手との関係性が短期間で改善される見込みがなければ、かけたコストがどれほど大きいものであろうとも、「もったいない」という気持ちを切り捨て、可能性のある「これから」のことを第一に考えて、勇気ある撤退をする必要があります。

自分の将来を選択する力は、自分の中にあるもの。その力を使うことなく、もったいないおばけに、自分の将来を委ねてはいませんか?

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臨床心理士  向 裕加

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