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年間2.7兆円の損失

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

私は「こころを整える」仕事をしていますが、「こころを整える」と同じくらい「身体を整える」ことは大事だと思っています。以前にもブログでご紹介させてもらいましたが、今日の午前中は岩崎美也子先生のところでパーソナルトレーニングを受けてきて、身体を整えてきました。かなりキツいので、ヒーハー叫びながらのトレーニングでしたが、終わった後はスッキリです!

さてさて、今日のタイトル「年間2.7兆円の損失」とは、何のことだと思いますか?
写真の札束で1,000万円ですが、2.7兆円は札束でイメージするのも難しそうですよね。そのくらい多額であるということは、確かです。

この2.7兆円という数字は、2010年に厚生労働省から発表されたもので、うつ病や自殺による日本の経済的損失額が年間約2.7兆円なのだそうです。驚きではありませんか?

最近は、働き盛りの30〜50代の人がメンタルヘルスの不調を訴える傾向にあります。以前は高齢者に多かった自殺も、最近では働き盛りの世代に増えてきています。メンタルヘルスの不調が悪化すると、その人は休職したり退職したりするので、生産性は必然的に低くなります。また、現場での一人当たりの労働負担が増えることから、その中から新たなメンタルヘルス不調者が発生するという悪循環にも陥りやすいんですよね。労働人口の低下は生産性の低下に直結しますし、生産性の低下は経済の低迷に大きな影響を与えます。

それだけでなく、メンタルヘルス不調者が発生すると、当然のごとく、国が負担する医療費も増える訳です。また、退職を余儀なくされた人が生活保護を申請した場合には、社会保障費の負担も増えることを考えると、多額の経済的損失が発生するのは、ある程度想像できることなのですが、2.7兆円にも上るということに、私はただただ驚きました。これについては、私が先日読んだこちらの本の監訳者のあとがきで触れられています。この本は、2008年からイギリスで実施された「心理療法アクセス改善」(Improving Access to Psychological Therapies: IAPT) 政策について書かれたものです。うつ病や不安障害などのメンタルヘルスの問題が国民の幸福度を下げ、多額の経済的損失を生み出していることに着目し、希望する国民全員に心理療法を提供しようとイギリス政府が約800億円を投じた国策です。800億円をかけて治療効果のエビデンスがある認知行動療法を提供できるセラピストを5年間で5000人養成し、その5年間に38万人が治療を受けたところ、その46%が回復し、経済の回復と政府の支出減に影響を与えたとのことでした。

今の日本は、まさにIAPT導入前のイギリスと同じ状況に陥っています。何でもかんでも真似をすれば良いという訳ではないと思いますが、IAPTと似たような政策を導入したスウェーデンでもイギリスと同様な結果を得ていることを考えると、日本こそ、このような国策が必要だと思うんですよね。先日の衆議院選挙に約600億円の税金が投入されているという報道をどこかでチラリと耳にしたとき、個人的には「選挙にそんな多額の税金を投入するくらいなら、IAPTみたいな有益なことに税金を投じてほしい」と、心の中でボヤいてしまいました。

このような取り組みを国の政策として実施する必要性を訴えていくことも、私たち専門家の仕事だと思いますので、地道ながらも行政に対する働きかけをしていきたいと思っていますが、一番身近で現実的な範囲で私ができることは、企業におけるメンタルヘルス問題についての改善を働きかけていくこと。メンタルヘルスの問題を既に抱えている企業のみならず、いつ、どこで、どんな風に発生するかがわからないのがメンタルヘルスの問題なので、どの企業にも日頃から危機意識を持って、対策をして欲しいというのが私の願いでもあります。

企業の成長を担う従業員の心身の健康を守るためにも、今一度、「心の健康」にも目を向けてみませんか?当オフィスでは従業員のカウンセリングのみならず、メンタルヘルス問題についてのコンサルテーションや研修も行っております。お気軽にお問合せください。

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臨床心理士  向 裕加

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