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「不安」とうまく付き合うためのヒント

札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

この日曜日、サロマ湖周辺でサロマ湖100kmウルトラマラソン
というマラソン大会が開催されるのをご存知でしょうか?
この大会はとても人気のある大会で、エントリーするのが最初の関門。
(走る前の関門ということで”0次関門”と呼ばれてます)
定員3550名を先着順で募集するのですが、
30分もしないうちに枠が埋まってしまうんですよ!
「100km走りたい!」と思う人がこんなに大勢いるだなんて、
信じられませんよね?私はフルマラソンで十分です(笑)。
でも、ランニングを通して知り合った多くの仲間たちが
この大会に出場するので、私も現地で応援する予定です。

さて、いよいよその大会が数日後に迫り、私のFacebookのタイムラインでは
サロマ100kmマラソンに向けての友人たちの投稿が多くなってきました。
「頑張るぞー!」という人もいれば、「不安です」という人もいるのですが、
今回初めて100kmに挑む人や完走の経験がない人が、「不安」を強く感じているようです。
そこで、今日はこの「不安」という感情との付き合い方についてお話したいと思います。

以前、「『怒り』とうまく付き合うためのヒント」という記事で、
私たちの感情には「役割」があるということをお伝えしました。
私たちに何かを伝えようとメッセージやサインを送ってくれているのですが、
では「不安」という感情は、一体、私たちに何を伝えようとしているのでしょうか?

「不安」は、私たちに「安全が確保されていない」ことを知らせてくれています。
新しい環境へ飛び込むのが不安なのは、その環境が「私の知らない世界」であり、
自分にとって安全な世界であるかどうかわからないから。

100kmという長い距離を走るということは、
初めての人にとっては完全なる「私の知らない世界」であり、
100kmマラソンを経験したことがある人にとっても、
慣れ親しんだ世界ではないので「プチ私の知らない世界」になるわけです。
不安になるのは当然なのです。

私が「『不安』という感情と上手に付き合うことができていないな」
と思う人は、無意識のうちに「不安を感じるだなんて、人間として弱い」
という価値判断を下しているように見受けられます。

そもそも「不安」は「安全が確保されていない」ことを知らせるのがその役目。
そこに「人間として弱い」という価値を乗せてしまうのは、全く根拠のないこと
加えて、このような価値判断は、「不安」自体を否認しようと働きかけるので、
結果的に、安全が損なわれる可能性だって出てくるのです。
それでは本末転倒ですよね?

まずは「自分は不安なんだ」と気づくこと
これはとても大事なことなのですが、一番難しいところでもあります。
「怒り」同様、「不安」も一般的にはよろしくない感情と捉えられている節があるので、
見ないようにされたり、こころの奥底に閉じ込めて、存在しないものと扱われたりしますが、
ちゃんと「不安」の存在を認めて、向き合うところからスタートしましょう。

そして、自分が不安を抱えているということがわかったら、
その不安が「解消できる不安」なのか、
それとも「感じるしかない不安」なのかを見極めましょう。

「不安」は「私の知らない世界」だから生じる感情なので、
知ることや情報を得ることで解消できる可能性があります。
つまり「解消できる不安」は、人に聞く、実際に行ってみる、ネットで調べる…など、
「未知」を「既知」にしていくことで緩和させることが可能です。

でも、いくら事前に調べておいても、実際に経験しないとわからないこと、
そのときの状況次第で「何が起こるかわからない」「どうなるか予測が立てられない」
ことから生じる不安は「感じるしかない不安」になります。
ですから、100kmマラソン前の「不安」は「感じるしかない不安」になるでしょう。

この「感じるしかない不安」については、以下の3つの対処法を試してみてください。
⑴ 「こういう状況に立たされたら、誰もが不安になるはず」
   と感じて当たり前の不安であることを強調して、信じること
⑵  不安に思う「自分」を責めたり、「弱い人間だ」と思わないこと
⑶  不安な気持ちを誰か(安心して話せる人がベスト!)に話したり、
   ノートに綴ってみたりするなどして、不安を頭の外に出す(外在化)こと。
   (特に不安が強いとき、頭の中のグルグル思考が余計な想像を生み、
    不安を増長させるので、積極的に外在化することが大事です!)

また、「解消できない不安」を感じるときは、
自分の行動に対する結果が付随している場合が多いです。
なぜならば、その結果も全て「未知」だから。
こういう場合には「うまくやること」を手放すことも必要です。

結果を出せるに越したことはありませんが、
それまでの過程も含めて「これも自分の成長の糧のひとつ」と捉える方がずっと楽
そうすることで暴れん坊の「不安」を落ち着かせることができるでしょうし、
リラックスした気持ちは、あなた自身の本来の力を引き出してくれるでしょう。
これが望んだ結果へと繋がっていくのです。

「不安」は人類の普遍的な感情です。
厄介者扱いはせずに、しっかりと向き合うことから始めましょう。
しっかりと向き合えば、「不安」を味方につけることも可能です。

味方にするか味方にしないかは、あなた次第です!

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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