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セルフコンパッションとともに乗り切った4日間!

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

時代が平成から令和に変わったこの10日間の連休、皆さんはどのようにお過ごしになられましたか?私は4/28〜5/2までEmotion-Focused Therapy(EFT:感情焦点化療法)の通訳の仕事で、東京にいました。
去年は一受講生として参加したワークショップですが、今年は通訳として参加。
この写真↑のように、通訳とは言葉の橋渡しをする重要な役目。講師のロンダ先生は去年既にお会いしているのですが、通訳として一緒にお仕事をするのは初めてのことでした。また、北海道で通訳の依頼をされるときは一人でその役目を務めていたので、今回のようにパートナーと一緒に組んで仕事するのも初めてのこと。ペースやリズムをつかむまで、かなり苦労しました。それでも、パートナーである通訳の女性が同業者の臨床心理士であり、EFTにも精通していて、ロンダ先生の通訳を務めるのは3回目という超ベテラン!頼り甲斐のある彼女にサポートしていただき、そして、受講生の皆さんに暖かく見守っていただけたという最高の環境下で、無事に4日間の使命を全うできてホッとしています。

今回、この通訳の仕事をしていて、新しい発見がありました。去年から学んでいる「セルフコンパッション」が、この仕事を乗り切る上でとても役に立ってくれていたことを身をもって体験したのです。

それは、2日目の午前中のこと。私は調子がイマイチ上がらず、「やばい!」と不安になっていました。ロンダ先生の英語を聴いて、頭では理解しているものの、それを日本語に切り替えて言葉にする…というシフトがなかなかうまくいかない。「こんなんじゃダメだ!」「何をしてるんだ!みんなに迷惑をかけるんだぞ!」と自分自身に対して辛辣なジャッジメントをすればするほど、身体全身に力が入っていくのがわかりました。また、「次こそはパーフェクトにしなければ!」と思えば思うほど、頭が真っ白になっていくような感じがして、焦りや不安が段々大きくなっていくのがわかりました。

焦りや不安が段々大きくなっていくにつれ、そんなつらい感情を抑圧しようとして身体に力が入る。身体に力が入るとパフォーマンスは上向きになるどころか、下がる一方。パフォーマンスが下がるので、焦りや不安がさらに強くなる。この悪循環に陥っているということに気づくまで、そう時間はかかりませんでした。

悪循環に陥っていると認識したとき、まず、私がしたことは不安や焦りという感情をマインドフルに受けとめること。不安や焦りを感じている自分自身を「ダメな通訳だ」と辛辣に評価をするのを止め、「調子が悪いのだから、不安や焦りを感じるのは無理もない」と自分が置かれている状況に対する理解をもって「調子が悪いなりによくやってるよ」、と頭の中で自分を積極的に労ってみました。すると、不安や焦りが和らぎはじめ、集中力も回復し、少しずつ調子が上向きになりつつある感触を得ることができたのです。パートナーの通訳の方の力も借りながら、そうやって自分自身をなんとか休憩時間まで繫ぎとめました。

休憩時間に入った瞬間、「今日、イマイチ調子が上がらなくて、ご迷惑ばかりかけてごめんなさい!」ともう一人の通訳の方に謝りながら、自分が負のスパイラルに陥っていたことを正直に告げると、彼女は私にこう言いました。「え、そうなんですか?気づきませんでした。全然、そんなことないですよ。自分が一度、『ダメだ〜』と思ったら、そういう負のスパイラルに巻き込まれてしまって、抜け出せないことってありますよね。私にも、よくあります。わかります、その気持ち!」

そんな話を2人でして盛り上がっていたとき、ワークショップの主催者のお茶の水女子大の岩壁先生がやってきて話の輪の中に入ってきました。そして、岩壁先生も「わかる、わかる、そういうときってあるよね!僕にもあるよ!そういう負のスパイラルに入り込んじゃって抜けれないときってあるよね。でも、向さん、大丈夫!ちゃんとできているから!」と言ってくれたのです。

それまで「負のスパイラルから抜け出せないダメな通訳は私くらいなものだ…」というような孤立感のようなものに苛まれていた私でしたが、通訳経験のあるこの2人の話を聞いて、私が体験しているのはというマインドフルセルフコンパッションでいうところの「Common Humanity(共通の人間性)」であることがわかったのです。つまり、人生は完璧ではないし、人間はみなある種の弱さと不完全さを有している。それは自分だけに起こっていることではない…ということがクリアになったことで、不安や焦りといった私を苦しめていた感情がスーッと穏やかになっていき、休憩後、徐々に調子は上向きになっていきました。そして、午後のセッションが始まる前までには、「自分を取り戻す」ことができた感覚を得ることができたのです。

いつもは細やかな気遣いをしてくれるロンダ先生ですが、話に夢中になると、通訳がいるということを忘れちゃいます。なので、訳を挟むことを忘れて、話続けちゃうこともしばしば(汗)。特に、ワークショップ後半になるとロンダ先生ご自身も疲れがピークに達するので、そうなることが多くなるんですよね。
(これは話を聞いているときのメモ。自分がわかればOKなので、ぐちゃぐちゃだし、正直スペルも合ってません。苦笑)

それでも落ち着いて対応することができたのは、自分自身にセルフコンパッションを向け続けることができたからこそ。こんなところでセルフコンパッションのパワーを体験することができるとは予想してもみなかったので、私にとってはとても貴重な体験となりました。

感情に飲み込まれるのではなく、こうやって自分自身の感情を調整できるようになることは、穏やかな生活を送る上で非常に役に立ちます。そういう意味でも、ひとりでも多くの人が自分自身にコンパッションを向けることができるようになれたらイイなぁ…と思います。というのも、自分自身にコンパッションを向けられる人は、自然と他者にも優しさや思いやりを向けることができる人だから。こういったポジティブな連鎖を築き上げ、社会全体が良いものになることを願ってやまない令和最初のブログ記事でした。


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公認心理師/臨床心理士   向    裕加

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