カウンセリングオフィスProgress

English Page

カウンセラーブログ

トップページ > カウンセラーブログ > 厄介な脳(The Tricky Brain)

厄介な脳(The Tricky Brain)

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

先日からご紹介しているコンパッションフォーカストセラピー(CFT)ですが、ワークショップを受けて、他のセラピーにはあまりみられない、とてもユニークな要素があると思いました。それは「厄介な脳」の心理教育です。心理教育とは、適切な心理学的知識やスキルを対象者に教えることによって問題への対処方法を身につけたり、エンパワメントを促したりすること。CFTでは「厄介な脳」についての心理教育を行います。この心理教育には進化論的モデルの考え方も含まれており、これは他のセラピーにはないCFT独自のアプローチだと思いました。

私たち生き物には「脳」があります。脳は生物の進化の過程の中で発達してきましたが、これは私たちが意図的に「設計(デザイン)」したものではありません。私たちは自分の意志で設計したものではないものを備えて、たまたま生まれてきたのです。

そして、人間の脳には他の生き物には見受けられない「能力」があります。それらは「想像する力」「計画する力」「複雑な言語を扱う力」「創造力」などの役に立つものもありますが、「反芻」したり「心配」したりするなどの厄介な力も備えているのです。

例えば…ですが、アフリカの原野でライオンに追われているシマウマを想像してみてください。「食べられてしまうかも!」という脅威的な状況から逃れ、ある程度の安全な状況が確保されれば、シマウマは恐らく落ち着きを取り戻し、その辺にある草を食べはじめることでしょう。「またライオンが襲ってきて、食べられるかもしれない!」と心配して、草を食べることすらできないシマウマはいません。これを人間に置き換えてみるとどうでしょうか?人間は脅威的な状況に置かれると、それを繰り返し繰り返し考えたり(反芻)、最悪の結果を予想(心配)したりします。これは、脳の進化によってプログラムされたものなのです。

また、私たちの経験や性格の形成は、生まれてきた家庭環境に大きく影響を受けています。これも脳と同じで、私たちは自分の意志でどの家庭に生まれてくるのかを選べることはできません。ですから、私たちの「脳」がときとして厄介なことをしてしまったり、暴走してしまったりするのは、私たちのせいではないということを理解し、その上で知恵とコンパッションをもって、それに対処していくことが大切なのです。

そんな風にCFTでは心理教育するそうです。

「嫌なことを何度も何度も考えてしまうのは、私のウジウジとした悪い性格だからだ。私が悪いんだ!」と自己批判的になっても、何も良いことはありません。むしろ、もっとウジウジしてしまって負のスパイラルに突入してしまうことでしょう。まずは、「これは脳がそうさせているのだ」と、自分の中で起きていることをありのまま受けとめること。それだけでも、この負のスパイラルに陥るのを防いでくれそうですし、何となく、自分が抱えている問題と距離を置いて冷静に考えることができそうですよね。ワークショップ中、「フムフム…」と納得しながら、聞き入ってしまいました。

”Keep calm, it's not your fault"(落ち着いて、それはあなたのせいじゃないから)

脳は私たちが思っている以上に扱いにくいもの。扱いにくいのは、あなたのせいではありません。

→ ご予約
→ お問合せ
カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士        向  裕加

English Page


lgbt Ally
lgbt Ally

カウンセリングオフィスprogress

〒060-0042
札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F