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自分自身への優しさ

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

来週、ご縁があって一部上場企業の北海道支社で、管理職向けの研修講師を務めさせていただくことになりました。ようやく研修会で使う予定のスライドも完成して、今、ホッとしているところです。講師業歴はかれこれ15〜16年になり、それなりに経験を積んできたこともあってか、最近は研修内容を構成してスライドを作るために必要な時間が短縮されてきたような実感があります。

決して手を抜いている訳ではありません。むしろ、スライドのクオリティや研修内容の構成度、そして満足度は、制作時間が短縮化された今の方が高いです。そして、主催者側や参加者からの感想やフィードバックも、今の方が格段に良いです。もちろん、経験値が増したことがその理由のひとつではあるのは間違いないと思いますが、私なりに自己分析を深めて見えてきたことは、私が「自分自身への優しさ(=セルフ・コンパッション)」を持てるようになったことが大きく影響しているのではないかということでした。

講師業をはじめた頃、私は、まだ27〜8歳。臨床心理学の専門家としてもまだ駆け出しで、「誰かに何か物事を教えられるだけの知識も技術もない」、そう思っていました。だから、いつも不安でした。「何言ってるのか、わからない」、「つまらない」。そんな風に思われるんじゃないかと、いつも不安でした。また、「『ダメな講師だ』とレッテルを貼られるかも知れない」、「こんなダメ講師にお金を払うだなんて、なんて無駄遣いだ!」と非難されるかも知れない。烙印を押されることも、仕事をもらえなくなることも、いつも不安でした。

実際そんなことは一度もなく、むしろ、年々依頼は増える一方でした。でも、不安は小さくなるどころか、大きくなるばかり。30歳を過ぎてから、行政関係の機関で研修会講師を務める機会にも恵まれました。信頼されて、お仕事を任せてもらえる一方で、プレッシャーにも感じていました。というのも、そのような場では、参加者の多くは、私よりも年上の人が大多数だったからです。

「『こんな若造が講師なのか』と舐められてはならない。そのためにも、私は研修を完璧なものに仕上げなければならない。」そんな考えに、私は精神的に追い詰められていました。というのも、スライドを作ろうとするたびに「ここを突っ込まれたらどうしよう?」とビクビクし、突っ込まれないようにと追加の内容をスライドに盛り込むのですが、そうなると新たに「ここを突っ込まれたらどうしよう?」というポイントが発生してしまうんですよね。そうやって負のループにはまってしまい、抜け出せない。今までは、そんなことがよくありました。

去年から集中的に受講しているカウンセリングやセラピー系のトレーニングは、各々アプローチの仕方が違いますが、その根底に共通しているのは、「自分自身への優しさ」を育むことが感情の安定化につながるというコンセプト。そのコンセプトを学ぶようになってから、いつも自分にダメ出ししていた私でしたが、少しずつ自身に優しさを向けることができるようになってきました。

例えばですが、今回、スライド作りで行き詰まったときは、こんな風に自分に声を掛けていました。「ストレスが溜まってるなぁ。会ったことのない人の前で話をするとき、ストレスが溜まらないという人はいないよね。きっと、他の人も、私みたいな感じだよね。そう、こう感じるのは私だけじゃないよ」。そんな風に自分に優しさを向けた途端、自分の気持ちがスーッと落ち着いていくのがわかりました。スーッと落ち着いた心は、自然と「頑張ろう!」という気持ちにさせてくれるんですよね。

自分で自分に声をかけるときが難しいときには、仲の良い友だちやパートナーだったら、どんな風な言葉をかけてくれるだろうか?を想像しました。「あなたなら、きっとうまくできると私は信じているよ。あなたのブログはわかりやすい。だから、きっとスライドだって研修会だって、わかりやすいものになるよ」。目をつむりながら、きっと、彼女ならそう言ってくれるだろうな…という友人の姿を頭の中で想像して、彼女の声もイメージしました。すると不思議なことに、ドキドキバクバクしていた心臓が穏やかになって、「よし、やるぞ!」と集中してPCに向かうことができました。

恐らく、今までは「自分はダメ」「自分にはできない」「完璧でなければつけこまれる」などと、自分の弱さ自体を認めることができず、それが不安を増大にさせていたんだと思います。そして、その不安ばかりが頭の中を占めてしまって、考えることや動くことをストップさせてしまう。どおりで、スライド作りが進まずに、時間ばかりが過ぎていってしまった訳ですよね。

クライエントだけでなく、自分自身の経験からも「自分自身への優しさ(セルフ・コンパッション)」のパワーは絶大だと痛感しています。奇しくも、来週の東京でのトレーニングはコンパッション・フォーカスト・セラピー。更なるコンパッションのパワーを身につけて、札幌に持ち帰ってきたいと思います。

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