歴史を知ることで深まる理解
札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。
この週末は、久しぶりに伊達市へ行ってきました。
今回の伊達市訪問のメインは、能楽の鑑賞。カウンセリングをする際には、豊かな感性が必要だと思っています。ですから、日頃から感性を豊かにすることを目的に、意識的に芸術に触れることにしています。
論理的に物事を考える傾向にあるので、実は芸術やアートというものに対する苦手意識が強いのですが、苦手であることを理由に避けていては自分自身の成長に繋がらないので、理解できずとも、「とりあえず」触れてみることを最近は大事にしています。
自分に馴染みのないものについては、いつもは事前に自分なりに勉強してみるのですが、今回は全然勉強もせずに行ったので、お恥ずかしながらチンプンカンプンでした。せっかくの良い機会だったのに、こうなってしまったことを残念に思います。
写真の公演プログラムには、この能楽の背景となる歴史が綴られていました。それを読んでみると、「へぇ、こんなことがあったんだ」などと色々なことがわかってくるんですよね。後になってから、「あれは、そういう意味があったのか！」と少しずつ理解も深まってくるのです。歴史を知ることで理解が深まる。そんなところでしょうか。
そう考えると、カウンセリングもこれに似ているところがあるんですよね。
クライエントの凝り固まってしまった思考パターンや問題となる行動パターンは、それ自体しか目に入らないと、「そんな考え方（行動）止めたら良いのに」という短絡的な結論にしか行き着きませんが、その人のそうなってしまった経緯（歴史）を丁寧に伺っていくと、「なるほど！そういうこと（歴史）があったからこそ、こういう風になってしまったんですね！」という深いレベルでの理解に繋がっていくのです。
それまで誰にも理解してもらえなかったことが少しでも理解してもらえる安心感から、クライエントはもっと深いレベルで自分自身のことを語り始めます。実は、その中に思考パターンや行動パターンの改善への一歩となるヒントが隠されているんですよね。そして、カウンセリングというプロセスを通して、それらが引き出される。それが問題の解消へと繋がっていくのです。
歴史に耳を傾けることで深まる理解。芸術も人も、丁寧にその歴史を知るプロセスが大切だと思い知らされました。
今回はチンプンカンプンでしたが、次回は事前勉強をしっかりとして、能楽を楽しみたいと思います。
カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士 向 裕加
