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前進のために必要なもの

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

最後のブログの更新から10日以上が経過してしまいました(汗)。バタバタと忙しくしていまして、ブログの更新が滞ってしまいました。バタバタ忙しくしていたひとつに、こちらがあります。
パートナーやラン仲間が出走していたサロマ湖100kmマラソンの応援のために、サロマ湖まで6月23〜25日まで行っていたのでした。

今年は午前中はやや気温が高めで、熱中症になる人も出るほどの天気だったのですが、正午過ぎから天気が急変。あっという間に一面曇り空になり、気温も急降下。20度近くもあった気温が、10度ほど下がったんですよ!強風が吹き荒れ、雨脚も強くなり、あっという間に嵐のような天気となった今年のサロマ湖100kmマラソンは、ギリギリのタイムで完走を狙う人ほど、過酷なレースを強いられることとなりました。

例年通り、100kmのコース上で3カ所で応援をしました。73km地点では、いつもテーブルをセッティングして、コーラを出しています。疲れた身体に染み渡るコーラのカフェインは、じわじわと効果を発揮することもあって、結構、人気なんですよね〜!チームメンバーやラン仲間だけでなく、知らないランナーさんたちにも提供させてもらっています。

今年は最初の1時間ほどは順調だったのですが、先ほどもお話したとおり、天気が急変してあっという間に過酷な状況に…。私もアウターを4枚着て防寒対策に努めましたが、その努力もむなしく、身体が冷えっ冷えになってしまいました。午前中、比較的、穏やかな天気だったこともあり、こんなに短時間で天気が急変すると予想していなかったであろう半袖やノースリーブなどの薄着で凍えながら走っているランナーが多数。その中には、私と同年代のラン友のSさんもいました。

Sさんは、私の顔を見るやいなや「やめます」と一言。アウター4枚を着ていても寒いというコンディションの中、半袖で雨に打たれながら走っているSさんの姿が実に痛々しくて、とてもじゃないけど、「頑張れ!」とは言えないんですよ。そんな私が彼にかけた言葉は「無理しないで」。それが精一杯でした。

結論から先に話すと、その後、彼はこの過酷な状況に耐えうるだけのアイデアを思いついて、無事に100kmを完走!執念の完走は、お見事でした!でも、ゴール手前でSさんの姿を見たときには「え、やめたんじゃないの?なんで走ってるの?」と、思わず訊いちゃいましたけどね(笑)。

このような過酷な状況のときや辛いときこそ、「ポジティブに!」とか「笑顔で!」という発想がありますが、実は、私はこういう発想が大嫌いです(笑)。そんな辛いときにポジティブになんかなれないし、笑顔でなんかいられません。それは、あまりにも不自然です。

大事なのは、現状の気持ち(感情)を受けとめること。

ずぶ濡れになりながら73km地点で応援している私のところに現れたSさんの姿やそのときのコンディションを見ていたら、「やめます」と言いたくなるのは、むしろ、人間として当然のこと。その気持ちを考えると、とてもじゃないけどポジティブに「頑張って!」とは応援できないのです。むしろ、「そりゃ〜、大変だよね。やめたくなるよね。やめてもいいよ。今まで、十分に頑張ったよ」という気持ちになるのが極々自然な流れであり、私の「無理しないで」という言葉には、そういう想いを乗せました。

カウンセリングでは、ネガティブな感情を無理矢理ポジティブな方向へと転換するのではなく、クライエントのネガティブな感情を「そうだよね、そんな気持ちになるのも当然だよね」と受けとめると、勝手にクライエント自らポジティブな方向に動いてくれることが多々あります。恐らく、ネガティブな感情や態度を共感的に受容してもらえたことによって、「こんな風に思っちゃダメなんだ!」と余計なところでエネルギーを消耗することが少なくなり、自然と前進に向けた原動力が生まれるからなのだと思います。

そう考えると、今回、辛い想いをしながら走り続けていたSさんに「そんなこと言わないで、あとちょっとだから頑張って!」と声を掛けずに良かった!と今更ながらに思うわけです。何はともあれ、Sさん、完走おめでとう!!そして、このお話をブログでシェアすることを許可くださった、優しい心に感謝です。

人が前進するために必要なものは、ポジティブなマインドではなく、ネガティブな感情を良い/悪いというようなジャッジメントを下すことなく、ありのままに受けとめる力だと個人的には思っています。自分自身のことを客観的にみるということはなかなかできないことなので、独りでそれを実践することには難しさが伴いますが、臨床心理士という伴走者とともにチャレンジしてみませんか?不可能だと思っていた前進も、可能になるかも知れません。

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臨床心理士  向 裕加

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