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「自分を助ける力」を育むこと

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

今日、クライエントさんのひとりから「辛いことがあってダメージが大きいので、お昼に伺うことはできませんか?」と連絡をいただきました。

結論からすると、答えは「NO」。第一の理由は、今日のオフィスの営業時間は13時〜であること。第二の理由は、このクライエントさんの最後のセッションから一週間も経っていないこと。そして、第三の理由は、当日の予約は受けていないこと。これらの理由から「NO」とお返事させていただきました。

「『辛いことがあってダメージが大きい』って言ってるんだから、話をきいてあげればイイのに!」…という声が聞こえてきそうなのですが、引き受けないにはそれなりの理由があります。

例えば、「辛いから、今すぐにでも話をきいてもらいたい」というクライエントさんの願いを聞き入れたとしましょう。クライエントさんは、辛い気持ちを吐露することでスッキリし、落ち着きを取り戻すことができるかも知れません。しかし、「辛いことがあったときは、ここに来て話をすればスッキリするのだ」という考えを抱いてしまう可能性は大です。そうなれば、カウンセリングに対する依存度は簡単に高まります。「辛いけれども、なんとかやり過ごす」という本来のその人が持っている力を損ねてしまう危険性だってある訳です。

ビジネス的な観点からすると、クライエントの依存度が高まった方が良いに決まっています。売上げが間違いなく上がりますから。でも、それは臨床家としてはあるまじき行為だと(個人的には)思います。私がクライエントさんと目指したいのは、カウンセリングを通して「自分を助ける力」を育てていくこと。最終的には、カウンセリングに来なくとも、自分で自分のこころを収めることができるようになって欲しいのです。「辛いことがあって、ダメージが大きい」という言葉から、「大変だろうな。大丈夫かな?」と私もこのクライエントさんのことが心配になりました。ただ、ここで安易にOKしてしまうことは、「大丈夫かな?」という私自身が抱く不安を解消するためだったり、「いつでも、困ったことに応じてくれる頼りになるカウンセラー」というクライエントのイメージを裏切らないためだったりするのも否めません。でも、それって、真の意味でクライエントさんのためを思ってやっていることでしょうか?これも、答えは「NO」であることは、みなさんも簡単に想像できますよね。

今回、ご連絡をいただいたクライエントさんは、ここ2〜3ヶ月で「自分を助ける力」を格段に高めてきている方でした。だからこそ、このクライエントさんのためを考えると、尚更、簡単にOKしてはいけないなと思いました。当日や時間外の予約は受付ていないので、今日は引き受けられないこと。でも、予約を早めることは可能であること。そして、この数ヶ月の格段に力をつけてきているので、その力を信じて、なんとかこの窮地を乗りきるトライをしてみては?…などと私から率直にお伝えしたところ、「予定どおりの予約日にお伺いします」というお返事をいただきました。

「大変かも知れないけれど、なんとかできる力があなたにはある」と、クライエントを信じることもカウンセラーの大事な役目。正直なところ、「今頃、どうしてるのかなぁ?」と気になりはしますが、きっと、この大変なときを自分なりになんとか乗りきって、次回の予約の日には来てくれるはず。

そのときは「よくここまでやってきたね〜!」という言葉でクライエントを迎えたいと思います。

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臨床心理士  向 裕加

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