カウンセリングオフィスProgress

English Page

カウンセラーブログ

トップページ > カウンセラーブログ > 『#MeToo』と声を上げることの大切さ

『#MeToo』と声を上げることの大切さ

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

最近、『SUITS』というNYはマンハッタンの一流弁護士事務所で働く弁護士たちを取り巻くドラマにはまっています。何の気なしに「ハリー王子と婚約したメーガン・マークルって、どんな女優さんなのかしら?」と思って観始めたのがきっかけです。Amazonプライムの会員になると、そのサイトにある海外ドラマや映画が見放題!ということで、この1ヶ月ほどは、このドラマばかり観ています。ストーリー展開もさながら、キャストのファッションの着こなし方が素敵で、とても見応えのあるこのドラマは、私のイチオシです!

さて、このドラマのタイトルでもある『SUITS』は、suitという単語の複数系ですよね。スーツと言ってパッと思い浮かぶのは服装としてのスーツかと思いますが、suitという言葉には「訴訟」という意味もあります。

10月初め頃、明るみになったハリウッドの大物映画プロデューサーのセクハラ騒動をめぐって、複数の「訴訟」が起きているのはご存知でしょうか?最近、日本でもブロガーのはあちゅうさんが電通に勤めていた頃の先輩クリエーターのセクハラ告発をしたことで大きな話題になっていますが、『#MeToo』の問題は、この大物映画プロデューサーのセクハラ騒動に端を発しています。

いろいろなご意見があるとは思いますが、私はこの『#MeToo』を通して、泣き寝入りをするのではなく、セクハラに対する抗議の声を上げることは、個人的にはとても意味があるというか、大切なことだと思っています。詳細については割愛しますが、私も以前の職場で、年上の男性Aさんにセクハラ発言をされたことがあります。大抵の場合、笑い飛ばせたり、軽く流したりすることができる私ですが、あまりにも度が過ぎたセクハラ発言は、とても不快なものでした。性格上、黙っているタイプでもないので、私も咄嗟にAさんに反論しました。「今の(発言)は、どういう意味ですか?」と言っても、Aさんはヘラヘラと笑うだけ。その態度にもカチンときた私は「今の発言、あんまりです。そんな風に言われて、とても不快です」とAさんに伝えましたが、Aさんは全然真剣に受けとめる様子もなく、「そんなに怒んないでよ〜」とヘラヘラと笑うだけで、謝罪の言葉を聞くことはありませんでした。

「言ってもわからないんだな、この人には」と思う一方で、あまりにも不愉快だったので、悩んだ挙句、その人の直属の上司(男性)に相談するも、「そういう話は難しい話だから、Bさんに話してみてくれないか?」と女性の別の上司に丸投げし、私はBさんと話をすることに。Bさんは私の話を一通り聞き、こう言いました。「とりあえず、Aさんには話しておきますね。でも、Aさんも悪気があった訳じゃないから、許してあげて」…と。同性のBさんにもわかってもらえず、しかも、「大したことじゃないんだから、あなたが我慢しなさい」と言われているようで、愕然としました。ちなみに、結局、Aさんからの謝罪の言葉はありませんでした。

ただ、その後、少しだけ変わったことがあります。依然として、Aさんは他の女性の同僚にはセクハラ発言を続けていましたが、私にはそういう発言をするのを止めたという点。セクハラは、行為や発言を受けたと本人が「不快」に感じれば、それはセクハラとして成り立ちます。笑い飛ばしたり、軽く受け流したりできる人もいれば、そうできない人もいます。私にとって、Aさんの発言は笑い飛ばしたり、軽く受け流すには度が過ぎていたこともあって、声を上げるという決断をしました。謝罪こそありませんでしたが、「私は、あなたのその発言を許しません」という意思表示は、少なくともAさんには伝わったのだと思っています。

Aさんは私よりも立場が上の人だったので、彼のセクハラ発言に反論することは正直勇気が要ることでした。ましてや、Aさんの上司に相談することになって事が大きくなることで、私の立場が悪くなる可能性もありました。「そのくらいのことでうるさく言う面倒な奴だ」と周囲の人間に思われることで、職場内での自分の評価が下がるのではないかと心配もしました。でも、声を上げなければ、私が不快に思っていることは、Aさんには伝わらない。そして、そのような扱いを受けることを私は許さないという態度を示さなければ、相手も変わらない。そう思って行動したことが、小さいながらも変化につながったことは、私に「声を上げる大切さ」を教えてくれました。今でも、そう信じています。

「自分さえ我慢すれば、波風を立てなくても済む」と思っている人も多いと思いますが、その我慢は本当に「必要な我慢」なのでしょうか?勇気が要る一歩かも知れません。傷つくことがあるかも知れません。でも、「声を上げる」ことをなくしては、変わらないことがあるのも事実です。

日本で広まりをみせている『#MeToo』は、前に進もうとしている人が少しずつ増えてきている証であり、「何も変わらないから何もしない」のではなく「何か変わるかもしれないから、何かしてみる」という、セクハラに対するパラダイムシフトが起こりつつあることを意味しているように思います。2018年は、そんな人たちのエンパワメントもサポートしていきたいと考えています。

→ ご予約
→ お問合せ

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

English Page


lgbt Ally
lgbt Ally

カウンセリングオフィスprogress

〒060-0042
札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F