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カウンセラーブログ

それぞれの事情

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

昨晩は、ロイトン札幌で開催された北海道女性企業家交流会エルクラのセミナー懇親会に参加してきました。8月のお盆時期に入会したのですが、タイミングが合わずに月1回の交流会やセミナー懇親会にでることができずにいました。昨晩が初めての参加だったにもかかわらず、私がセミナーの講師として登壇させていただきました!
人前で話すことには慣れているつもりでしたが、昨日は久しぶりということもあってか、かなり緊張しました。でも、スライドの写真を撮ってくださる方や前のめりな姿勢で私の拙いお話を聴いてくださる方などを目の当たりにして、「興味を持ってくださっている」ということを視覚的に確認することができ、心を落ち着けてお話することができました。このような貴重な機会を与えていただけましたことに感謝です。

昨晩は、写真にもあるように「感情」についてのお話をさせていただき、参加者の皆さんからは「とても興味深いお話でした!」「勉強になりました!」というコメントやご感想を多数いただけて、私もとても嬉しく思いました。しかしながら、いつもこのような好意的なコメントをいただけるわけではありません。ときには、辛辣なコメントをいただくこともあります。以前、メンタルヘルスに関するセミナーの講師をした際、こんなことを言われました。

「あなたが頭が良い方だということはわかりました。でも、あなたの話の内容は私の心には全然響きませんでした」

セミナーの講師をする際、冒頭で自己紹介をさせていただいていますが、その際には自分の学歴や職歴、所有する資格などを必ず含めています。「学歴なんて関係ない!」と思う方も、もちろんいらっしゃいますが、個人的には、私がどのようなところで教育を受け、どのような組織で、どのような仕事をしてきたのか?ということは、他者から信頼を得るために必要不可欠な要因だと思っているので、そのような情報を公開することにしています。

ですが、これが諸刃の剣になり得る要因であることも否めません。というのも、私は他の人から信頼を得るためにこれらの情報を公開しているつもりなのですが、地元一の進学校卒、留学経験あり、大学院卒などの情報から、単に「自慢している」と捉えてしまう人がいるのも、また事実なのです。本人にそれ以上の意味を問うてはいないので、真意はよくわかりませんが、恐らく、上記のコメントをした方は、私が学歴や職歴を「自慢している」と受けとめたのだと思います。

私も人間(笑)ですので、そんなことを言われてショックを受けました。「ガーン」と凹みました。「どうして、そんなこと言われなくちゃならないんだ!」と怒りを覚えました。しかし、そんなときに役に立ったのは「人にはそれぞれの事情がある」という考え方を意識することでした。

私たちひとりひとりには、それぞれの事情があります。生まれ持ったものも違えば、育てられた環境や人、そして、それらとの関わり合い方も違います。また、どのような価値観を持った人たちに囲まれて生きてきて、何を経験してきたかも違えば、今現在、置かれている環境や状況にでさえ違いがあるのです。ただ、そのような「事情」というものは本人にしかわからないものであり、外側からパッと見ただけでわかるものではありません。ですから、勝手に決めつけてしまうのは不適切なことなんですよね。

「あなたが頭の良い方だということはわかりました。でも、あなたの話の内容は私の心には全然響きませんでした」。そう言った方の事情は、私にはわかりません。本当はたくさん勉強したかったのに、家庭の事情でそれが許されず、仕事はできるのに「学歴」がネックになって思うように出世できないことに腹を立てているのかも知れません。自分なりに頑張ってはみたものの、その頑張りが成績には反映されず、頭の良い人に対するコンプレックスがあるのかもしれません。他にも色んな事情が考えられるでしょう。だとすると、その方はその方の「事情の中で苦労している」のかも知れないのです。そう思うと、相手を責める気も自然と薄らぐものです。

また、相手が知らない「私の事情」を自分がどれだけ肯定的に評価できるかもポイントになってくるでしょう。

「自慢している」とネガティブに捉えられることがある私の学歴や職歴の背景には、他の人にはわからない「私の事情」で溢れており、私はその「私の事情」の中で私なりに苦労をしました。そんな苦労を私自身が「よく頑張ったよね」と評価することは正当な評価であり、学歴や職歴を手にいれることができたのは自分の頑張りがあってこそだという紛れもない事実を認識することは大切なことなのです。なぜならば、そうすることによって「自分にOKが出せる」ようになり、自己肯定感が高まるから。自己肯定感が高まると、例え他人から批判を受けたとしても、大きく感情を揺さぶられることなく、上手に収めることができるので、心が穏やかでいられるのです。

自分にしかわからない事情があると同じように、他人には他人にしかわからない事情があるものです。本人にしかわからない事情を勝手に決めつけてしまうと、イライラして無駄にエネルギーを消耗させてしまうでしょう。そんなときには「あの人がああ振舞っているのには、何らかの事情があるんだろうな」という発想を持ってみることをオススメします。イライラがスッとーひいていくと同時に、相手に対するつながりすらを感じられるようになるかも知れません。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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