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勝手にオススメ(ピンヒールははかない)

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

お盆休みは今日まで…という会社も多いようですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?オフィスは今日までお休みをいただいておりますが、本日はSTVさんでのお仕事があったので、私は今日から社会復帰(笑)です。

今年のお盆休みは、本当にゆっくりさせてもらいました。昨日は市内にある実家へ行き、仏壇にお線香をあげて、ちょっとお盆休みっぽいことをした後に、サッポロファクトリーで青空の下でビールを飲み、自宅に一旦戻ってからレジャーシートと本を提げて北大へ。
レジャーシートを広げて芝生の上に座って、気持ち良いそよ風が吹く中での読書は贅沢な時間!途中、本を読んでいたら気持ちがよくなって眠たくなってしまい、ゴロンと寝転んでしばしのお昼寝タイム。ちょっと柔らかくなってきた陽射しが降り注ぐ中、目を閉じると心地よいそよ風が頰に当たり、耳を澄ませば子どもが元気良く楽しそうに遊ぶ声や鳥のさえずり、涼しさを感じさせる小川のせせらぎの音が聞こえてきました。他愛もない、ありきたりな夏の休日の午後ではありますが、とてつもない「幸福」を感じた時間でもありました。

そんな1日を過ごした昨日の夜に読みはじめたのが、本日、私が「勝手にオススメ」したいこちらの本です。

『ピンヒールははかない』佐久間裕美子著

佐久間裕美子さんの著書を読むのは、今回が初めてです。私がこの本に興味を抱いたのは、表紙のイラストを描いている札幌出身のイラストレーターSATO ASAMIさんが好きだから。この本がファッション雑誌か何かで紹介されていたのを目にしたとき、一目でSATO ASAMIさんが表紙を手がけたことを察知した私は、この本に俄然興味がわいたのでした。しかも、私の大好きなNYはブルックリンに住む40代の女性が書いたエッセイとあれば、読まない理由がない!ということで、先日、購入したばかりだったのでした。

本当は昨晩一気に読んでしまいたかったのですが、途中で睡魔の誘惑に負けちゃいました。でも、半分以上残っていたにもかかわらず、今日の午前中に1時間ちょっとで一気に読了。きっと、「なんとなく、それってわかるな〜」と共感できることが多々あったことが、その理由なんじゃないかと思います。

特に【母になった不良少女】というエッセイの中で、私の心を鷲掴みにして離さなかったのが、以下のくだり。

”それでも、ラケルと話しているうちにわかったことがある。「幸せだって思われたい」、他人から承認されたいという気持ちがあるのは、みんな、自分の選択が正しいのか不安だからだ。女として生きるということは、結婚する、しない、子供を持つ、持たない、仕事を続ける、辞める、といった選択肢の中から自分の道を選ぶということだ。そして、人生に付随する無数の選択を日常的にするということだ。誰だって、自分が選んだ道は間違っていなかったのだと思いたい。だからきっと、他者からの承認を求めてしまうのだろう。もうひとつはっとなったことがある。
「幸福は、瞬間的に感じるもので、継続的な状態ではない」
それでも人間は、「継続的な幸せ」が可能であるという幻想を抱くし、それを目指して葛藤する。幸せとは、何かいいことがあったとき、美しいものに出会ったときに、瞬間的に感じる気持ちのことである。継続的な幸せなんてないのだと受け入れることができたら、他者からの承認欲求からも解放されるのかもしれない。” (p.102-103)

この部分を読んだ瞬間、昨日の午後、北大の構内の芝生で私自身が感じた「幸福」の瞬間が思い出されたと同時に、これって性別に関係なく、現代を生きる全ての人に通づるものがあるのではないかとも思いました。「他者」からの評価を過剰に期待する我々日本人にとっては、考えさせられるもの、ありませんかね?少なくとも、私は「うーん」と唸ってしまいましたし、この部分を読んで、なんとなく、ここ数日間私の心をかき乱していたものが少しおさまってきた感じはします(苦笑)。

「選んだ道が最善の道よ」

これは佐久間さんがご自身のお母さまから得た助言で、悩みに悩んだときの良い指標となったと紹介した上で、このエッセイをこんな言葉で締めくくっています。

”だからと言って、悩むことがないわけではない。「本当にこれで良かったのか」と不安になる瞬間がないわけでもない。でもきっと、「幸せ」が継続的な状態を指す言葉ではないのと同じように、悩み、不安、不幸も永遠に続くわけではないのだと思えれば、少しラクになる気もするのである。”

人生は自分と折り合いをつけていく作業。考えや目標が変わって迷ったり、何が自分にとって正しいのか探ったりしながら自分と向き合うことは簡単なことではないけれども、いつだって「自分らしく」いられるために悩めることは、案外「幸せ」なことなのかも知れません。

ちなみに、佐久間さんもお友達に「40過ぎたらメンテが命。精神も、肉体も」とアドバイスされ、セラピーに通うようになったそうです。さすが、ニューヨーカーですね!

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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