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頭の中の「警察官」と「弁護士」

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

昨晩から降り出した雨も上がって、今では太陽を見ることもできますね。本来北海道には梅雨はないはずなのに、ここ数年、6月の降雨量が多くなったように思います。「蝦夷梅雨」という言葉を以前よりも耳にすることが多くなり、異常気象で「北海道には梅雨がない!」という常識も覆されつつあるのかも知れませんが、北海道は梅雨フリーな爽やかな大地であってほしいもの。異常気象がこれ以上我々の生活に大きな変化を起こさないよう、エコを意識した生活を心がけていきたいと思います。

さて、昨日のブログ記事『「頑張ることの程度」と「限界」を知ること』に対して、ちょっとした反響がありました。

「力を緩めたいなぁと思っても、他の人から甘えだと思われるのがこわい」
「他人の評価に左右されない自信がない」
「私なんてまだまだ!と言いたくなるくらい、周りに素晴らしい人が多すぎる」

…などなど、皆さん色々と苦労されているんだな〜と、改めて思いました。

という私も他人の評価に全く左右されないか?というと、そんなこともなくてですね、人からの評価にこころが掻き乱されるほど揺れまくるときも、実際、あります。ただ、30過ぎてから、少しずつ「自分にOKを出す」ことができるようになってからは、例えこころが揺らいだとしても、ある程度、自分自身で立て直すことができるようになってきたように思います。

つい最近、こんな本を読みました。

高校のある先輩がこの本の著者である岡映里さんのFBページをフォローしていて、先輩がいいね!を押したことをきっかけに、岡映里さんの記事が私のタイムラインにも上がってきたのです。「なんとなく、面白そう」という直感的な印象で彼女の記事を読んでみたのですが、とてもタメになることがわかりやすく書かれていて、しかも深い!

岡さんは双極性障害を診断され、仕事も辞め、離婚を経験。2年間の治療を経て症状が落ち着くものの、好きな人に振られたことをきっかけに、自分自身が囚われていたネガティブな思考とうまく付き合うために取り組んだことをこの本にまとめられました。

彼女が取り組んだこととは、「自分がどんな人間なのかを知り、何に傷ついてきたのか、その結果どういう行動をとりがちなのか、自分の心を観察しはじめ」、自分だけの「心の地図」を作り上げる…ということ。その結果、表紙のサブタイトルにもある通り、彼女は「毎日をご機嫌に」変えることができたのです。

詳細は著書を是非読んでいただきたいのですが、彼女の取り組みは、実は心理療法の一つである「認知行動療法」がベースになっています。相当深いレベルまで認知行動療法を学ばれたようですが、堅苦しい専門用語は一切使われておらず、認知行動療法の基本的なコンセプトが誰にでもわかりやすいように描写されています。

「私なんてまだまだ」とか「そんなの甘えているだけでしょ?」とか「そんなのできて当たり前だから!」とか…自分に厳しくしてしまうところ、誰にしもありますよね?岡さんはそれを、頭の中にいる「怖い警察官」と表現しています。この表現もとてもイメージしやすくて、私は好きです。

頭の中に「怖い警察官」しかいないと自分は必ず有罪になってしまう。だから、頭の中には自分の味方になってもらう「弁護士」も作る必要がある。「自分はダメだな」と思ったときに「いやいや、ダメじゃないですよ!」と「弁護士」に仕事をしてもらうことで、できたことはこれだけありますよ〜と良いところも見つけてみるようにする。岡さんは、こうすることで「自分はダメだ!」と自分を責めてネガティブになる時間が格段に減ったそうです。

「自分を褒めましょう!」とよく言いますが、実は、私、これがとてつもなく苦手だったりします。だって、恥ずかしいですもの。そして、ちょっぴり「それって、ナルシスティックじゃない?」とも思ったりする訳です。でも、自分の頭の中に「異議あり!」とか言って、自分の味方になってくれる理知的な弁護士さんが頭の中にいてくれるイメージは良いかも?と思いました。

自己否定の(ネガティブな)思考回路の原因は、頭の中にいる「警察官」の仕業です。その警察官に、私たちは常に「取り締まられて」います。その存在に気づき、警察官が出てきたら、弁護士に出動してもらって、自分を否定する感情を打ち消してもらう。警察官の登場で一度は心が揺さぶられるかもしれないけれど、弁護士が出てきてくれることで揺さぶられた心が、また落ち着きを取り戻す。この「弁護士の登場」が、私の言う「自分にOKを出す」に当たることだと思います。

みなさんの頭の中にもおそらくいるであろう「怖い警察官」、その警察官の存在に気づいていますか?
どうでしょう、みなさんの味方になってくれる「弁護士」さんは頭の中にいらっしゃいますか?

もし、あなたの頭の中に「怖い警察官」しかいないようでしたら、あなたの味方になってくれる心強い「弁護士」さんを一緒に育ててみませんか?カウンセリングオフィス プログレスが、そのお手伝いをさせていただきます。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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