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ティッピングポイント:ビジネスとカウンセリングの共通点

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

先週、数10cmも雪が積もったときはどうなることやら…と悲観的になってしまいましたが、ようやく春らしいポカポカ陽気が戻ってきましたね。1か月ほどかけて北上する桜前線。早くピンクの可愛らしい桜の花を愛でたいものです。

いつもは月曜日は定休日でお休みをいただいているのですが、一昨日はお休みを返上して、朝からセミナーに行ってきました。

臨床心理士としては15年のキャリアがある私ですが、ビジネスに関してはど素人。一応、開業する前に勉強はしておこうと思い、札幌市が主催していた起業塾なるものにも行ってみましたが、正直なところチンプンカンプン(苦笑)。変なところで楽観的な人間なもので「まあ、何とかなるだろう!」くらいに思っていましたが、ビジネスはそんな甘いもんじゃないことを痛感し、「一から勉強しよう!」と思ったのがセミナー参加のきっかけでした。

私が参加しているセミナーは、『戦略マーケティングブートキャンプ』というゴッツイ名前のセミナー(笑)。このセミナーの講師は、こちらの高田稔先生です。

高田先生は長年アメリカンエキスプレスで営業職に就かれていて、社長賞を受賞されたことがある素晴らしい実績の持ち主です。その後、2003年に渡英し、University of Hullでマーケティングを専攻。MBAを取得して帰国した後に、コンサルタントとして独立されています。実例をもとにしたわかりやすいセミナーは大人気で、今回の札幌でのセミナーにも、わざわざ東京から参加する方がおられるほど。マーケティングの難しいセオリーも、非常にわかりやすい言葉に置き換えてくれる高田先生のセミナーは、ど素人の私でも理解可能な内容です。ただ、『ブートキャンプ』というセミナーの名前からも想像できるかと思いますが、良い意味で、終わる頃には頭が筋肉痛になります(笑)。

先日、そのセミナー中に高田先生と『ティッピングポイント(Tipping Point)』の話になりました。「『ティッピングポイント』って、何て訳したらいいんだろうね?」と高田先生とも話していたのですが、要するにこういうことです。

【図1】

チャレンジしているときや頑張っているときに私たちが頭の中にイメージするのは、おそらく【図1】のような右肩あがりの直線だと思います。頑張った分だけ、成果が出る。それが成長につながる。でも、こんな風にうまくいくことって、ほとんどないのが現実です。

【図2】

むしろ、現実は【図2】のような感じ。頑張っても成果が出ない時期がしばらく続いて、ある地点に到達してから少しずつ右肩上がりになっていく。この”ある地点”が、いわゆる『ティッピングポイント』になります。

大抵の人が抱いているイメージは【図1】だと思います。なので、直ぐに成果が出ないと「頑張っても無駄」「努力しても、何も変わらない」という気持ちから、そこで諦めたり、チャレンジを止めちゃったりするんですよね。変化が生じる『ティッピングポイント』に到達する前にチャレンジ止めてしまうから変化も生じないし、そして、また1からやり直し…になってしまうのです。

成果はすぐには上がらないかもしれないけれども、小さなことでも積み重ねていけば、変化(ティッピングポイント)は必ず訪れるのでコツコツと実践することを大事にしましょう!…ということがビジネス的な考えとしては大切なのだということをお話しになられていたのですが、これは実はカウンセリングにも言えること。

カウンセリングにいらっしゃる方の中には、カウンセリングを受けたら何かが劇的に変化するだろう!と期待している方は少なくありません。そのような方たちが持たれているのは、まさに【図1】のイメージです。臨床心理士というこころの専門家といえども、私たちは魔法使いではありませんから、呪文を唱えて問題をすぐに解決できるということは、まずあり得ません。なので、【図1】のようなイメージを持っていると、ティッピングポイントを迎える前に「カウンセリングを受けても何も変わらないじゃないか!」「カウンセラーに話しても無駄だ!」とカウンセリングを止めてしまう傾向にあるんですよね。

【図2】の最初の平行線に見える部分も、一見すると何も変わっていないように見えますが、実は、この部分は細く見てみるとこんな風な小刻みな波線になっているんですよね。

うまくいく(成功する)ときもあれば、うまくいかない(失敗する)ときもある。変化していないように感じられるかもしれませんが、確実に変化はしているのです。「何も変わっていない」のではなく、それはティッピングポイントを迎えて飛躍するために必要な”助走”。しっかりと助走する距離と時間を取ることができるからこそ、ティッピングポイントを迎えたときに飛躍することができるのです。

試行錯誤を繰り返しながらも「私は全然変わってない」と仰るクライエントさんに、【図1】と【図2】を描いてこのお話をさせていただいたところ、「なるほど!こういうイメージを頭の中に浮かべたら、少し希望が持てました。気持ちもちょっと楽になれました!」というお言葉をいただくことができました。この考え方や物事の見方が、このクライエントさんにはシックリきたようです。

一見すると全く違う分野であるビジネスとカウンセリングですが、その根底にある本質的な部分では実は繋がっていて、とても面白く感じている今日この頃。こころの専門家の臨床心理士としても、ビジネスパーソンとしても、このティッピングポイントを迎えるべく、私も小さなことを日々コツコツと実践していきたいです。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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