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『アナと雪の女王』 隠されてしまったメッセージ その3

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

最後のエントリーから少しお時間が空いてしまいましたが、先週お届けした【『アナと雪の女王』 隠されてしまったメッセージ その1】【『アナと雪の女王』 隠されてしまったメッセージ その2】に引き続き、本日はその第三弾をお届けしますね。

子どもは無力であるが故に、親の庇護のものでしか生きていくことができません。ですから、気づいてしまうと都合が悪い感情、特に親に対するネガティブな感情については、無意識のうちに心の奥底にグッと押し込んでしまいます。そして、こころの中に生じる感情を見て見ぬフリしていると、感情に気づくことに鈍感になってしまうのです。このようにして、私たちは小さい頃から多少なりとも「感情に気づかないトレーニング」をしているんですよね。特に、エルサのように「イイ子」であればあるほど、感情の封印が強固なものとなっていることが多いのです。

ただし、ここで気をつけたいのは、生じた感情は「感じてはいけない」(まるで『Let it go』の”Conceal, don't feel, don't let them know."という歌詞のようですね!)と封じ込められているだけで、こころの中で噴火直前の火山のマグマのように煮えたぎった状態にあるということ。何かの拍子に爆発してしまう危険性と常に背中合わせであるがために、その感情を抑えることに大半のエネルギーが費やされます。本来使われるべきところにエネルギーが投じられないのですから、色んなことがうまくいかないのも、もっともな話なのです。

ですから、生じた感情を押し殺すして見て見ぬフリをするのではなく、自分の感情を丁寧に扱えるということはとても大切なこと。それが、例え、親に対するネガティブな感情だったとしても、「私、怒っているんだ」「お母さんにこんなことを言われて、私は悲しい」と、感情そのものに気づけること自体に大きな意味があるのです。

私がオフィスでお会いするクライエントさんたちの中にも、親に対してネガティブな感情を抱きながらも、その感情をずっと見ないフリをしてきた方が多くいらっしゃいます。「感情に気づかないトレーニング」を長年してきたせいもあって、封じ込められた感情にアクセスできるまでに時間を要します。しかし、少しづつ自身の感情に気づき始めるとき、緩やかながらも癒しが始まっていくのです。これが、まさにエルサが経験した”Let it go"であり、凍った(”Frozen")こころを溶かすプロセスなんですよね。

ディズニー映画は観ている人に大きなインパクトを与えるのは、みなさんもご存知の通りです。だからこそ「自分の中に生じる感情はポジティブなものであれ、ネガティブなものであれ、大切にしていいんだよ!」というメッセージを、子どものみならず、自身の感情をどう扱って良いかわからない大人にも届けて欲しかった!とても素晴らしい映画だけに、そのメッセージが翻訳の段階で隠されてしまったのが残念でなりません。

少なくとも、このブログを読んでくださっている方には、英語版で届けられていた『アナと雪の女王』の隠れたメッセージを知っていただけたかと思います。もし、機会がありましたら、このような視点を持って、この映画を観てみてはいかがでしょうか?新たな発見があるかもしれません。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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