自分への「ダメ出し」にサヨナラ
札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。
本日の最高気温は7℃!今朝私が聴いていたラジオのパーソナリティの方が、最高気温が4℃だった昨日1日で雪は5㎝も溶けたとお話しされていましたが、今日は一体どのくらいの雪が溶けるのでしょうか!?このまま一気に溶けて欲しいものです。春が待ち遠しいです。
さて、昨日の『「自分にOK」という考え方』というブログ記事を読んで、当オフィスのFacebookページにとても貴重なコメントを下さった方がいらっしゃいました。
「すごく大切なことだけど、理解して、実践するのは難しいし、人に、このことの良さ、大切さを伝えるのは、もっと難しいと感じてます。」
ありがとうございます!本当にその通りだと思います。
多くの方は、この理屈を頭では理解できていますが、それを自分自身の中に落とし込んでいくことに苦労されています。なぜ、「自分にOK」を出すのが、それほど難しいものなのか?本日は私自身の経験を交えながら、その辺りのお話をさせていただこうと思います。
ところで、自分への「ダメ出し」はあたかも自分のこころの声や考えとして脳内再生されていますが、それは幼少期や思春期に「自分を傷つけた周囲の人の声」が内在化された(こころの中に定着した)ものであることにお気づきでしょうか?
それは「いつも罰を与えようとするお父さん」かもしれませんし、「いつも厳しく叱ってばかりいるお母さん」かもしれません。「オール5じゃないと許してくれないお父さん」かもしれませんし、「機嫌が悪いと八つ当たりしてくるお母さん」かもしれません。内在化された声は、必ずしも両親の声だけではありません。祖父母や親戚のおじさんやおばさん、学校の先生や上級生、近所の人や見知らぬ大人、塾や習い事の先生の声かもしれません。また、大人になってから自分を傷つけた恋人やパートナー、上司などの声が内在化される場合もあります。
例えば、「こんなに走れていないだなんて、ダメだな」「去年までは10キロなんて軽々走れていたのに、今は10キロ走るのが精一杯だなんて、情けないな」というような私の自分への「ダメ出し」は、どんなに頑張っても「よくやったね」と褒めてくれるはなく、いつも私にパーフェクトを求めて「もっと頑張りなさい」「まだまだできるはず」という父の声が内在化されたもの。頑張りを認めてもらえなかったことが、私にとっての「傷つき体験」だったんですよね。ここで大事なのは”私にとっての”という部分。他と比較して「大したことはない」と思う必要はありません。私が「傷ついた」と思ったら、それは立派な「傷つき体験」なのですから。
先ほどもお話した通り、自分への「ダメ出し」は”あたかも”自分のこころの声や考えとして脳内再生されています。私たちにとってはあまりにも身近すぎて、その内容に「疑問」すら持てないのです。だから、その妥当性も検証されることもなく、「ダメ出し」は”あたかも”「事実」として確立されてしまうんですよね。
そんな私が少しずつ「自分にOK」を出せるようになったのは、パートナーの存在が大きいと思っています。というのも、走っていない自分に「ダメ出し」してる私に対して、「仕事が忙しい中、頑張って走りに行ってるよね〜」「久しぶりの10キロ、よく走ったね!お疲れさま」とよく声をかけてくれるのです。そんな彼の声かけは、私の「ダメ出し」に一石を投じてくれる大事な役割を果たしてくれています。
「こんなに走れていないだなんてダメだと思ったけど、仕事を一生懸命頑張っているんだから、全くもって”ダメ”ではないよね」「10キロ走るのが精一杯で情けないって思ったけど、先月は一度に10キロ走った日がなかったんだから、まあ、それよりはイイか」
最初はそんな彼の「声」がむず痒かったりもしたのは事実ですが、父の声が知らず知らずのうちに内在化されていったように、彼の声も少しずつ内在化されていって、知らず知らずのうちに「自分にOK」を出すことができるようになったのです。
自分への「ダメ出し」が0になるということは、まずないと思って間違いないでしょう。しかしながら、大切なことは、「ダメ出し」ばかりして自分を追い込むのではなく、「自分にOK」を出せるようになることで「自分で自分のこころを助ける力」を身につけることです。
ただし、これを定着化させるためには、時間がかかりますし、何度も何度も繰り返しするというプロセスが必要になってきます。また、”あたかも”「事実」として扱われている自分への「ダメ出し」に対して、一石を投じてくれる受容的な第三者の存在も必要です。この第三者の存在を日常生活の中で確保できれば非常にラッキーだと思いますが、なかなか日常生活の中でみつけるのが難しいがために、実践するのが難しいと感じていらっしゃる方が多いのかもしれませんね。
「自分にOK」を出せるようになるプロセスは、自転車に乗れるようになるまでのプロセスによく似ています。最初は誰かのサポートを受け、手足や周囲に意識を向けて、何度も何度も失敗を繰り返しながら練習していきますが、一度自転車に乗れるようになると、その動作はほぼ自動的に発生し、定着化されます。最初は大変かもしれませんが、一度、「自分にOK」を出せるようになると、自分が意識しなくても自動的に発生し、自分助けの一つのスキルとして定着化していくことでしょう。
「自分にOK」を出せるようになって、穏やかなこころを手に入れてみませんか?あなたの「ダメ出し」に一石を投じながら、カウンセリングオフィスプログレスが全力でサポートをいたします。
P.S. どんなにダレダレでも、自分になんかちっともダメ出ししてない我が家のリオです(笑)。
カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士 向 裕加