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「わたし」を主語にして話す「アイ・メッセージ」のススメ

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィスプログレスの向 裕加です。

今朝の出勤中に地下歩行空間を歩いていたところ、また、新しいビルへの入口がお目見えしていました。

新しいビルの名前は、sitatte sapporo 。位置的には、駅前通りを挟んで赤レンガテラスの東向かい側です。札幌駅周辺の街並みや人の流れは、更に変わりそうですよね。どんどん変化していく札幌。楽しみでもありますが、札幌っ子の私としては、見慣れた景色がなくなっていくことに一抹の寂しさを覚えます。

さて、みなさんは「アイ・メッセージ」という言葉を耳にしたことはありますか?ここでいうアイは【eye】ではなく、アイは【I】。つまり、I=「わたし」を主語にして話そうとすることで、コミュニケーションを円滑にしてみましょう!ということです。

というのも、日々のコミュニケーションを振り返っていただくとわかりやすいのですが、あまりうまくいっていないコミュニケーションは、「わたし」ではなく、「あなた」を主語にしていることが多いですよね?

例えば、「どうしてそうなの?」とか「だいたい君はね…」という表現は、「あなた」が主語になっています。「あなた」が主語になっている話し方をすると、言われた相手は非難や批判されたように感じ、あなたに攻撃されたと捉えます。人は他者に攻撃されると、自分を守るために自己防衛をするもの。ですから、反撃をしたり、自己正当化しようとするのです。

「あなたって、どうしてそうなの!?」という一言で相手のスイッチが入り、「お前だってさ〜!!」とヒートアップして、いつの間にかケンカになっていた…というのは、だいたいこういうパターン(私にも覚えがあります。汗)。このような非生産的なコミュニケーションパターンを回避するために工夫したいのが「アイ・メッセージ」なのです。

例をあげて考えてみましょう。

「(あなたは)『忙しい、忙しい』って言って仕事のせいばかりにして、どうして(あなたは)話をする時間を作ろうとしてくれないの!?」と、旦那さんと話をする時間が取れないことを不満に感じている奥さんがいるとしましょう。こんな風に言われたら、みなさんだったら、どんな風に返事しますか?私だったら、多分、「そんなこと言ったって、本当に仕事が忙しいんだから、仕方がないだろう!?俺だって疲れているんだ!」などと反論すると思います。こんな風になると、その後の展開はだいたい想像がつきますよね。

でも、こんな風に言われたら、どうでしょうか?

「忙しいのはわかっているけれども、最近、話をする時間を持てなくて(わたしは)不安になってるの。できれば、近々、話をする時間を作ってもらえると(わたしは)助かるわ」

少なくとも、責められている感は和らぎますよね。むしろ、奥さんが「こんな風に思っていたんだ」「こんなことを感じていたんだ」と理解が促進されます。また、「何をどうすれば良いのか?」ということが具体的にわかるので、問題解決への一歩を踏み出すことも可能です。場合によっては「不安な思いをさせていて申し訳なかったな」という気持ちから、今後は奥さんの話にもしっかり耳を傾けようと態度が変化するかもしれません。いずれにせよ、一方的に「怒りをぶつけられた」という印象を受けることは最小限に留められるでしょう。

意識的に「わたし」を主語にして話そうとすると、自分が何をどう感じ、自分がそれをどうしたいのか?をまず自分で考えなければなりません。このプロセスを経ることで、自分が相手に伝えようとしていることが明確化され、その分、相手にも伝わりやすくなるというわけなのです。

ただし、ここで注意してもらいたいのが「〜してください」というやわらかいながらも命令文となる言い回しです。日本語の会話では主語が略されるのでわかりにくいのですが、これは英語にすると明確です。「〜してください」という日本語の表現は、英語では"Would/Could you please〜"とか "Do you mind〜"というような言い回しになりますが、いずれも、"you(あなた)"が入っています。これは、丁寧ながらも相手への命令や要求のニュアンスが含まれます。では、どんな表現を使ったらスマートになるのでしょうか?

先ほども紹介したような「〜してもらえると(わたしは)助かります」というような表現や「〜してくれると(わたしは)嬉しいです」という表現が役に立つでしょう。要求や命令のニュアンスが和らぐと同時に、「こんなことをすると、相手は助かるんだ。嬉しくなるんだ」という理解にも繋がります。ちょっとした工夫でコミュニケーションを円滑にすることは可能なのです。

慣れない「アイ・メッセージ」を普段のコミュニケーションの中で使いこなすには、最初はかなり意識しなければなりません。でも、意思疎通を図ることができた成功体験を数回経験することができれば、スムーズに繰り返し使えるようになるスキルでもあります。

多くの人の悩みは人間関係と言われていますが、ちょっとした工夫と意識の持ち方でコミュニケーショんは改善されます。まずは、「わたし」を主語にして話す「アイ・メッセージ」から始めてみませんか?

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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