カウンセリングオフィスProgress

English Page

カウンセラーブログ

トップページ > カウンセラーブログ > アドバイスを与えることとカウンセリングは似て非なるもの

アドバイスを与えることとカウンセリングは似て非なるもの

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィスプログレスの向 裕加です。

今日は朝4時に起床して、札幌白石倫理法人会の経営者モーニングセミナーで講師としてお話をさせていただきました。欧米諸国と比べて、日本では敷居が高いと思われているカウンセリングですが、それもそのはず。カウンセリングとはどういうものなのか?を知らない方が、まだまだ大勢いらっしゃいます。そのような方たちに向けて、カウンセリングとは何かといった情報を発信していくことも、私のようなこころの専門家の大事な使命。今日は「カウンセリングをもっと身近に」というテーマでお話させていただきました。朝早くから多くの方にご参加いただき、また、熱心に耳を傾けていただけたことに感謝です。

さて、今日のセミナーの中でも少しお話をさせていただきましたが、本日はカウンセリングとアドバイスの違いについて触れたいと思います。

私のもとを訪れるクライエントさんの中にも、私がアドバイスや忠告をして問題解決の方向に導いたり、問題に対する答えを持っていると期待してらっしゃる方がおられます。それは「相談」というコンセプトが、「カウンセリング」に近いものとして広く一般的に認識されているからのように思いますが、カウンセリングではアドバイスを与えるようなことは極力避けられるのが一般的です。

カウンセリングとは、カウンセラーに話を聴いてもらい、情報を共有し、カウンセラーが質問することに対して、クライエントが自問自答し、自らの答えや解決を見いだし、問題の解決へと繋がっていくような新しい考え方や行動を身に付けていくプロセスをサポートするもの。ですから、クライエント自身が何を感じ、どう考え、どう思っているか…が、カウンセリングの中で最も重要な要素だと言えます。

「アドバイスをする」という行為には、カウンセラーとクライエントの関係性に大きな影を落とす危険性が潜んでいます。

恐らく、みなさんにも心当たりがあると思いますが、誰かに悩みを相談して「あたかもわかったようなこと」を言われたり、「できなかったこと」「しなかったこと」を指摘されて、不快になったことはありませんか?

これは、アドバイスが自分への非難や批判であるかのように聞こえてしまい、反発心や抵抗感が生じているサインです。相談をされた側は「なんとかしてあげたい」「力になりたい」という気持ちからアドバイスをしていますが、このような「同情心」から生まれるアドバイスは、無意識のうちにアドバイスをする側が優位に立ちがち。相談した相手が「なんか上から目線の物言いをしている…」と感じたら、その関係には上下関係が生まれていると思って間違いありません。不快になるのも無理はありませんよね。

また、ある人に相談して、その人のアドバイス通りに行動したところ、良い結果を得た…としましょう。「それの何が問題なんですか?」と思うかも知れません。しかし、これは相談した人の考える機会、判断や選択する力を奪う行為とも言えます。「この人の言うとおりにすれば、物事がうまくいく!」と自分自身の判断をその人に委ねることが多くなり、依存的な関係性が知らず知らずのうちにできあがっている…ということも少なくないのです。

反抗心や抵抗感はクライエントの自己成長の妨げになります。依存的な関係性も、また、本来クライエントに備わっている自分で判断し、選択し、自ら答えを導き出すという「生きる力」を引き出す妨げになる危険性があります。それを考えると、なぜ、カウンセリングではアドバイスを与えるようなことはしないのかを理解していただけるでしょう。

アドバイスが欲しい!という方がこのような違いを知らずしてカウンセリングを受けることは、期待ハズレになるかも知れないので、あまりオススメできませんが、自分自身が何を感じ、どう考え、どう思っているか…をじっくりと見つめ、元々備わっている「生きる力」を引き出したい、取り戻したい!と考えている方には、カウンセリングはオススメです。

カウンセリングをもっと身近に。

近い将来、日本でもそうなって欲しいですね。それが私の願いです。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

English Page


lgbt Ally
lgbt Ally

カウンセリングオフィスprogress

〒060-0042
札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F