札幌市中央区大通にあるカウンセリグオフィスプログレスの向 裕加です。

シリーズの続きを書きたいと思いながらも、最近記憶力の低下が著しいので、忘れないうちに最近観た映画の感想をつづりたいと思います。（写真はお借りしました）

私が最近観た映画とは『シーモアさんと、大人のための人生入門』（↖︎シーモアさん）。俳優イーサン・ホークが40代に入って人生の壁にぶち当たっていた時、ピアノ教師のシーモアさんに出会ったそうです。そして、彼の人柄とピアノの音色に魅了されたイーサンは、監督としてシーモアさんのドキュメンタリー映画を撮ろうと決めました。その作品が『シーモアさんと、大人のための人生入門』です。

現在、89歳のシーモアさん。見たまんまのお人柄で、暖かく、優しく、包容力があるんです。そして、話し方がスローテンポで、何とも言えない安心感を与えてくれるんですよね。「ずっとシーモアさんのお話を聞いていたい。」自然とそんな気持ちになっていました（シーモアさんの雰囲気を知りたい方はこちらの予告編を観てください！）。

ドキュメンタリー映画なのでストーリー性はあまりないのですが、ジンワリとこころに沁みるシーモアさんの言葉が映画の随所に散りばめられています。その中でも、特にジワーッと私のこころに沁みこんできたのが、以下の言葉です。

”衝突も喜びも調和(ハーモニー)も不協和音もある。それが人生だ。避けて通れない。音楽も同じで、不協和音もハーモニーも解決(レゾリューション)もある。解決の素晴らしさを知るには、不協和音がなくては。不協和音がなかったらどうか？　和解の意味を知ることもない。”

「人生楽ありゃ苦もあるさ〜♩」という水戸黄門の主題歌にもある通り、人生楽しいことばかりではありません。でも、この人生の不協和音なくしては、私たちは「解決する」ことの素晴らしさを知ることもないでしょうし、「解決する」ことから生まれる喜びや調和のありがたさを知ることもないでしょう。様々なストレスや困難に立ち向かうことにはツラさが伴うので、できることならば避けたいと思うのは私だけではないと思いますが、”解決の素晴らしさを知る”ことができる機会であると捉えることができれば、立ち向かうための勇気が少しは出てくるのではないでしょうか。

また、シーモアさんは、こんなことも言っています。

”誰もが皆、人生に幸せをもたらすゆるぎない何かを探している。聖書に書いてある――救いの神は我々の中にいると。私は神ではなく、霊的源泉と呼びたい。大半の人は、内なる源泉を利用する方法を知らない。宗教が腹立たしいのは、答えは“我々の中にはない”と思わせていること。答えは神にあると。だから皆、神に救いを求めようとするが、救いは我々の中にあると私は固く信じている。”

混沌とした生きづらいこの世の中で、誰しもが幸せになるために必要な”確固たる何か”をつかむために必死になっていますが、多くの人は、その”確固たる何か”を自分以外のものに求めているように思います。でも、シーモアさんが”救いは我々の中にある”とおっしゃる通り、人生の羅針盤は自分の中にあると私も固く信じています。

シーモアさんにとっての”内なる源泉を利用する方法”は、ピアノ通して奏でられる”音”を通して自身の感情と向き合うこと。ある意味、カウンセリングもこの”内なる源泉を利用する方法”のひとつであり、方法（メソッド）は異なれど、やはり自分自身と向き合い、自身の感情に触れることが”人生に幸せをもたらす”秘訣なのだと痛感させられました。

シーモアさんにレッスンを受けることができた人は、皆、柔和な笑顔になっていたのがとても印象的だったのですが、それは、おそらく自分の”内なる源泉”に触れることができた証なのでしょう。

私も、シーモアさんのようなカウンセラーになりたい。

シーモアさんの言葉とシーモアさんが奏でる音色から織り成された、なんとも表現しがたい充実感と安堵感に包まれて、そんなことを強く感じた、優しく、そして、穏やかな時間でした。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士　　向　裕加