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ヤマアラシのジレンマ

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

シリーズでストレスマネジメントについてお届けしてきましたが、ちょっと今日はシリーズをお休みして、我が家のニャンコたちを見て感じたことをお伝えしていこうと思います。

我が家にニャンコたちがやってきたのは、8月の夏の日のことでした。あれから4か月が経過して、季節はすっかり冬に。生後3か月ほどで育ちざかりのやんちゃな子猫だったリオとルナ。

(手前がリオ♂、奥がルナ♀)
彼らのやんちゃっぷりといたずらに泣かされることもありました(本当に泣きました。苦笑)が、大分、大人になって落ち着いてきました。
(気分はライオンキングなリオ)
体もすっかり大きくなって、運動能力も抜群に良いリオは、高いところでも悠々にジャンプしちゃいます。

リオとルナは同じ保護主さんから引き取ったので、小さい頃からずっと一緒で、とても仲良し。でも、飼い始めた当初から性格は本当に違っていて、リオはとてもフレンドリーで人懐っこい猫なのですが、ルナは気が強い反面、とても臆病者です。我が家に来て4か月が経過していますが、未だに、私たちがルナに近づこうとすると、ルナはピューッ!と全速力でダッシュして逃げます。
かなりリラックスしているルナですが、この時もこれ以上近づこうとしたら、ピューッ!と全速力で逃げていました(苦笑)。そんなルナですが、まどろんでいるときは、実は抱っこができます!というか、ルナは抱っこが大好き!抱っこをすると、喉をゴロゴロと鳴らして、黙って余裕で1時間くらいは抱っこされたまま過ごすこともあるくらいです。

そんなルナに、ここ1か月くらいで変化がありました。近くとピューッ!と逃げるのは相変わらずなのですが、甘えた声で鳴いて、向こうから近づいてくるようになりました。自宅で仕事をしていると、背後のベッドに上がってミャーミャー鳴いて近づいてきては、私の気を惹こうとしたりします。洗面所でお化粧をしたりしているときも、どこからともなくやってきて、甘えた声でミャーミャー鳴きながら近寄ってくるんですよ。でも、抱っこしようかと近くと、ピューッ!と全速力で逃げます(苦笑)。

もともと、リオもルナも野良猫。自分の身を守るためには、外敵を簡単には信用しないことや外敵が近づいてきたら一目散に逃げることが生存の確率を高めるでしょうから、野良猫としてはルナは非常に優秀なんですよね。でも、家猫となった今、ルナは「甘えたくて距離を縮めたい気持ちはあるんだけど、まだ、完全に信用することはできない」というジレンマ(葛藤)に苛まれているんですよね。最近のルナの行動を観察していて、そう思います。

そんなルナを見て思い出したのが「ヤマアラシのジレンマ」。
ヤマアラシは全身を針でおおわれていますよね?距離を縮めようとすると、お互いの針が身体に刺さって痛いので離れてしまうけれども、離れると寂しいので近づく。でも、やっぱり相手の針が刺さるので痛くて近づけない。人間の場合、他者と親密な関係になることを希求する一方で、近い距離で関係性を築くことに自信がなくて、他者と距離をとってしまい孤独感を募らせる。そんな心理的な距離感におけるジレンマ(葛藤)のことを「ヤマアラシのジレンマ」といいます。

このような「ヤマアラシのジレンマ」を抱えている人は、過去に親しい距離で傷ついた経験があるのかもしれませんし、誰かを愛するということを怖れているのかもしれません。近しい距離で関係性を築くという経験の不足からその方法がわからなかったり、近づいたとしてもその関係性を維持させていく自信がないのかもしれません。「結局、最後に傷つく(嫌な思いをする)くらいなら、最初から近づかない方がマシだ」と思いながらも、払拭することができない孤独感や寂しさ、満たされない気持ちに苛まれるのです。

「ヤマアラシのジレンマ」が形成される背景的要因はひとりひとり異なるので、どうすれば「ヤマアラシのジレンマ」を克服できるのか?ということを簡単にお答えすることはできません。しかし、過去のどのような経験がジレンマを生じさせるきっかけとなったのか、そして、それがどのように現在の考えや物事の捉え方に影響を与えているのかを理解することができれば、このジレンマの克服へと繋がっていくことと思います。

ルナは言葉を話すことができないので、ルナのジレンマ克服のためには、私が態度や行動で示していかなければなりません。正直なところ、近づいたときにルナがピューッ!と全速力で逃げる姿を目の当たりにすると、ルナに拒絶されたようで凹みますし、「可愛くない!」という考えが頭に浮かんでイラッとすることもあります(人間ですから…笑)。

でも、自分がそんな気持ちになるのも仕方がないですし、ルナが逃げちゃうのは野生の本能がまだ残っている証拠。それはルナ自身にもコントロールできないんですから、しょうがないですよね。そんな風に思考の転換をはかりながら、ルナのペースに合わせて、変わらない態度で接することが大事だと思ってます。でも、よく考えると、ルナもルナで私に「近づいてみる」という行動をとって、彼女なりにトライしてくれているんですよ!それを認めるのも大切なこと。地道な作業ではあると思うのですが、そうやって信頼関係が構築され、少しずつ距離が近くなっていくのだと思います。

我が家のニャンコ先生に、教わることがた〜くさん!また、リオルナ先生から学んだことがあったら、みなさんにシェアさせていただきますね!

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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