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ペットロスを克服するには

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

我が家に彼らがやってきてから、早くも3か月半が過ぎようとしています。

久しぶりの子猫で、しかも2匹。やんちゃ盛りの彼らに頭を抱えることも確かに多いのですが、帰宅すると彼らが待っていてくれるのはやはり嬉しいものですし、彼らに癒されることが多々あります。

この数年で犬や猫などのペットを家族に迎え入れる人の数はぐっと増えました。動物とはいえども、彼らは家族同然ですから、溢れんばかりの愛情を注いでいる方も多いでしょう。しかし、動物は人間ほど長生きはしません。ですから、ペットオーナーが彼らの最期を看とることになりますが、その際、多くの方が「ペットロス」を経験されています。実は、私自身もその一人です。2012年と2015年に留学先のカナダから連れ帰った愛猫を看とった後、いわゆる「ペットロス」状態に陥りました。

「喪失体験」とは、自分にとって大切な誰かを失うというショッキングな体験のこと。これは、人生の中でも最もストレスの大きい出来事であると言われています。この喪失体験の一種と位置づけることができる「ペットロス」について、本日は「喪失体験」の観点から解説していきます。

「喪失体験」には大きく分けて3つの段階があります。

まず、大切な人やペットを失うと頭が真っ白になって何も考えることができなくなったり、喪失した事実を受けとめることができず、「信じられない!」と強く否定する気持ちが生じます。この段階は①否認と呼ばれています。当初は否認していた「喪失」を本当に起きてしまったことと実感するようになると、次は感情的なプロセスに入ります。

第2段階では②様々な気持ちを体験することになります。喪失から生じる「悲しみ」が中核的な感情ではあるのですが、それを取り巻く「怒り」や「後悔」、「不安」や「寂しさ」などの感情が前面的に出てくることが多いのが特徴です。

例えば、「どうして、この子が死ななければならなかったのか?ちゃんとした治療をしてなかったのではないか?」という獣医さんに対する怒りや「あの時、ちゃんと病院に連れて行ってれば、こんなことにはならなかったのに…」などの後悔などを経験するのが、この段階になります。どの感情も生じて然るべき感情ですので、それらの感情としっかり向き合うことが大事になってきます。

が、ここで是非みなさんに気をつけていただきたいことがあります!

この段階でありがちなのは「泣いたり、悲しんだりしても、死んだ◯◯は戻ってこないわ!前向きに生きなくちゃ!」と感情を抑圧したり、無理にポジティブになろうと頑張っちゃったりすること。これ、実はNGです。ネガティブな感情をないものとして扱おうとするとき、その感情を抑えこむには莫大なエネルギーが使われます。ですから、そのような状態が続くとエネルギーが枯渇してしまい、パッタリと動くことができなくなったり、うつ病になったりしてしまうこともあります。「喪失体験」のプロセスに近道はありません。しっかりと「悲しみ」に浸る。これ、とても大事です!

感情にしっかりと向き合うことができてはじめて、次のステップの③受容に移行することができます。この段階になると、亡くなった人やペットへの想い(過去)を抱えながらも、現在のことに目を向けることができるようになり、今すべきことをこなすことができるようになります。このような段階を経て、人は「喪失体験」を克服することができるのです。

こうしてプロセスを見てみると、第2段階の様々な感情を体験することがいかに重要であるかを理解していただけると思います。しかし、多くの人は「悲しみやネガティブな感情に向き合ったら、自分がおかしくなるのではないか?」という不安を抱いているが故に、それらの感情に向き合うことを躊躇してしまいます。しかし、安全な場が確保されれば、ネガティブな感情に向き合っても自分が壊れることはありません。

「安全な場」とは、あなたの話を温かく受け入れてくれる人がいる環境のこと。ですから、ペットを飼っている、飼ったことがある理解のある人に気持ちを打ち明けてみると良いでしょう。ただ、「その程度のことは、誰でも経験してるわ」「また、新しい犬(猫)でも飼ったら?」と一見励ましてくれているようで否定的なコメントをしてくる人と時間を共にすることは、安全な場が確保されていないので控えた方が賢明です。

残念ながらペットロスを克服するための近道はありません。プロセスを省略することは、心身に無理をかけることにもなります。様々な感情と向き合いながら亡くなったペットとの思い出を語ることは、もうこの世にはいなくなってしまったペットとの関係性を再構築するために必要不可欠なプロセス。この関係性の再構築を真摯な態度で誠実にすることこそが、ペットを大切に想っていた証ではないでしょうか。

それでもなお「自分の気持ちを話すのが怖い、不安だ」という方は、カウンセラーやセラピストなどの専門家の力を借りるということを検討してみると良いと思います。当オフィスでも、ペットロスで悩まれている方のサポートをさせていただいております。気軽にお問合せくださいませ。

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