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落語とカウンセリングの共通点

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィスプログレスの向 裕加です。

今日はちょっと寒さが緩みましたが、夕方から荒れ模様の天気になるようですね。そんな悪天候は明後日まで続くとのこと。交通の乱れも多くなりそうですので、くれぐれもお気をつけくださいませ。

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さて、先日はこちらにお邪魔してきました。
私の好きな噺家さんのひとりである柳家三三師匠の独演会です。落語を聴くことは私の趣味のひとつなのですが、最近はちょっと行くタイミングを逃していて、久しぶりの落語会となりました。この日は札幌ドームで日本シリーズの第5戦が繰り広げられていた夜で、そわそわしているお客さんも多数。予想通り、まくら(演目に入る前の小噺)は日本シリーズネタでした。三三師匠も独演会が始まる直前まで楽屋にあるテレビの前でかじりつくようにして観ていたそうなのですが、「時間になったので渋々舞台に上がってきた」とちょっとガッカリした表情をされていましたよ(笑)。

「笑い」は人の免疫力をアップするという研究結果が多数報告されていて(笑いの効用については、こちらのサイトをご覧ください)、落語家さんを呼んで入院患者さん向けに落語会をする病院も最近では多くあるようです。たくさん笑って日頃のストレスを発散できる落語会は、私のストレスマネジメントには欠かせないイベントですが、カウンセリングの勉強のためのとても重要な場だったりします。意外かも知れないのですが、落語とカウンセリングは、とても似ているんです。

落語会に行ったことがない方には想像しにくいかも知れないので、ちょっとした説明を加えながらお話しさせていただきますね。

落語には様々な演目(噺)がありますが、いきなり演目に入るわけではありません。先ほどもお話した通り、「まくら」と呼ばれる小噺があります。これは、時事ネタだったり、その時々のトレンドを反映したトピックだったり、その土地のローカルなネタだったり…、いわゆるウォーミングアップのようなもの。本題に入る前に、噺家さんたちは観客の方と他愛もない話を通して、関係性を築いていきます。

カウンセリングでも、クライエントと呼ばれる相談者の方たちは「相談」しに来るわけですが、最初から相談内容の「本質」を話し始める訳ではありません。大抵の場合、他愛もないことや一見すると関係のないようなことから対話は始まります。でも、これは無駄なことではなく、相談者とカウンセラーの信頼関係の構築の一端を担っているのです。

そうやってお客さんと噺家さんの間でウォーミングアップをし、関係性がある程度作られたときに、初めて落語の演題へと入っていきます。落語は、江戸時代の町民の日常の一部が取り上げられています。そして、そこに登場する人物の心理が、人と人との対話を通して、深く掘り下げられていく。噺はドタバタしていたり、まとまりがなかったりするものの、「そうそう」「あ〜、わかる、それ〜!」というようなことが何度も何度も繰り返されて、最後は「そっか、そういうことだったんだ!」という「オチ」にたどり着きます。実は、これもカウンセリングのプロセスによく似ています。

相談事はクライエントの日常生活の一部が取り上げられ、カウンセラーとの対話を通して、その日常生活で起きていることが深く掘り下げられていきます。悩みを抱えている人の話がまとまりに欠けるのはもっともなことで、話はあっちこっちに行ったり来たりして、クライエントもあまり落ち着きません。ですが、カウンセラーがクライエントの話を「うん、うん」と受容的に話を聴くことによって自分を見つめる力が促進されて、「そっか、そういうことだったんだ!」という着地点に到達することができるようになります。

「オチ」とは落ちつくという意味。「腑に落ちる」という言葉にも「オチ」が登場しますよね。「オチ」とは納得することができるという意味にも捉えることができるかも知れません。対話というプロセスを通して「オチ」をつける落語とカウンセリング。意外な共通点はこんなところにあるんです。

また、たとえ同じ題目を演じても、噺家さんによって、その展開の仕方に違いがあります。同じクライエント相手にしてカウンセリングをしても、カウンセラーによってアプローチの仕方が全く異なるのと同じで、こんなところも落語とカウンセリングの共通点だったりします。

カウンセリングは密室で行われ、かつ、かなり機密性の高い内容を扱うため、表に出すことがほぼ不可能です。ですから、カウンセリングのイメージをすること自体が難しいですよね。「落語みたいなものですよ〜」というのはやや乱暴な感じもしますが、落語を聴くプロセスの中で「ふ〜ん、こんなところが落語とカウンセリングの共通点なんだ〜」と思っていただけると、少しはカウンセリングのイメージをしやすいかな?と思った次第です。

もし、ご興味があれば、一度、落語を聴きに行ってみることをお勧めします!たくさん笑った後の爽快感、病みつきになりますよ〜。

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