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『東京タラレバ娘』とカウンセリング

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

読書は小さい頃から好きなのですが、マンガを読むのも大好きです。小学生の頃は『ガラスの仮面』『キャプテン翼』、『あさきゆめみし』は全巻集めていました。大人になってからも依然として私のマンガ好きは変わることなく、ここ数年では『神の雫』、『わかこ酒』、『きのう何食べた?』(ふと気づいたのですが、全てお酒と食べ物についてのマンガですね…汗)あたりが、私のお気に入り。時間のあるときには自宅に引きこもって1日中マンガを読みふける…というのが、私の好きな休日の過ごし方だったりもします。

そんな私が最近注目しているのが、こちらのマンガ!

『東京タラレバ娘』は、「ああだったら…」「こうなれれば…」と「タラレバばかり言ってたらこんな歳になってしまった」と嘆く33歳の独身女子3人組が繰り広げるドタバタ劇。

一生懸命仕事に打ち込んできたのに、あっさりと後輩に仕事を取られてしまい恋愛も仕事もうまくいかずに悩む脚本家の倫子、表参道でネイルサロンを経営して一見華やかそうに見えるけれども、実家暮らしで昔の男の二番目の女から抜け出せない香、冷静かつ客観的な視点を持ちながらも、出産のために嫁が実家に帰っている間に不倫をしてしまう男と切れない小雪…の3人が展開するストーリーが、多くのアラサーの共感を呼んでいて、『東京タラレバ娘』の累計販売総数は180万部を突破!年明けには吉高由里子さんの主演で、TVドラマ化が決定しているという注目のマンガです。

共感を呼ぶ…というと何かポジティブなことを連想しますが、『東京タラレバ娘』に関しては、むしろ、その逆。「胸を刺しまくる」とか「胸がえぐられた」とか、「つらい」とか「救いようがない」とか、「グサッとくる」とか「致命傷を負った」とか…割とネガティブなコメントが寄せられているようです。これは、読者の経験とマンガのストーリーとが重なるからこそ生じる胸の痛み。そういう意味では、読者が日頃から直視することを回避し、無意識に解決を先延ばしにしている問題について、マンガという媒体を通して、その問題に触れ(意識化)させるという大きな意味がそこにあると思っています。

私はもう40を過ぎているので、『東京タラレバ娘』を読んでも「分かる、分かる!私にも30代のときに、こう思った(感じた)ことあったわ〜」と懐かしく昔を回顧する程度ですが、臨床心理士という職業的な視点からこのマンガを読んでみると、作者の東村さんが、ストーリーや登場人物を通して投げかける言葉や問いが、カウンセリングに通じるものがあって驚きだったりします。

2日前に発売されたばかりの最新刊で一番印象的だったのは、

先回りして 防御して みっともない感情をコントロールして
でも、何年もそんなことやってたら
自分の 本当の感情が 何なのか わからなくなってしまった

というフレーズ。

多くの人は、傷つかないためにも自分を見失わないためにも、ネガティブな感情(ここでいう「みっともない感情」)を防御したり、コントロールしたりしている”つもり”になっていますが、それは真の意味でのコントロールではありません。真の意味でのコントロールとは、ポジティブな感情もネガティブな感情も等しく、「これが今、私が感じていること。この感覚を大事にしよう」と触れることができて初めて可能なものです。

大抵の人がいう感情のコントロールとは「触れないように、見ないように、ネガティブな感情をこころの奥底に押し込んでしまう」こと。「これが今、私が感じていること。この感覚を大事にしよう」と感情に触れることなくこころの奥底に押し込んでしまうことを何年も続けていたら、どこにどんな感情が存在しているかわからなくなってしまうのも当然のことなんですよね。

ただ、ネガティブな感情に触れずに何年も過ごしてきた人にとって、ネガティブな感情に直面するのは恐怖体験そのものでしかありません。というのも、触れてしまったら、自分がどうなってしまうかが全く想像することができませんし、それが不安を駆り立てるから。マンガを同時にふたりで読む…ということは不可能なのでひとりで読んでいると、否応がなしにネガティブな感情と直面させられるので、精神的なダメージが大きいんです。既述したような感想が読者から出てくるのも、無理はありません。

ネガティブな感情に触れないようにして生きていくという選択肢ももちろんあります。でも、自分のネガティブな感情の触れることができるようになると、自分なりの「生きづらさ」のようなものの原点がおのずと見えてきます。それらは、大抵、過去の傷つき体験に由来しているものです。それらの過去の体験と現在の生きづらさの関連性を理解できるようになると、傷つきや生きづらさを乗り越え、自分で自分をしっかりサポートできるようになります。その道筋を立てていくのが、臨床心理士の私の役目です。

もしかすると、このブログを読んでくださっている方の中にも『東京タラレバ娘』の読者の方がいらっしゃるかも知れませんよね?もし『東京タラレバ娘』を読んで胸がえぐられるような思いをしていたり、タラレバ人生とは決別して新しい道を歩んでいきたいと考えているのであれば、カウンセリングがその一助になるかもしれません。

「ああだったら…」「こうなれれば…」と後悔する「タラレバ」人生にサヨナラして、自分の価値に沿って、自分を大切にする生き方を新たに選び取ることができるよう、全力でサポートします。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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