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「距離感」の重要性

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィスプログレスの向 裕加です。

昨晩、急に高校時代の友人から連絡があり、会うことになりました。高校時代はお互いのことを知っていて話をしたことがある…くらいの関係でしたが、大学を卒業し、お互いが札幌に戻ってきてから親交が深まったように思います。グイグイと人を引っ張っていくタイプではないのですが、とても温和で聞き上手な彼は、人望が厚く、とても頼りになる存在です。昨晩会った際、彼にちょっと面倒なお願いをしなければならなかったのですが、しっかりと私の話や気持ちを聴いてくれ、しかも、私のちょっと面倒なお願いも快く聞き入れてくれました。昨日のブログ記事では、私の高校時代のちょっとツラかったことについて愚痴ってしまいましたが、このような素敵な友人との出会いを提供してくれた高校に感謝ですね。

さて、今日は私がカウンセリングをする上で大切にしていることをご紹介させていただきたく思います。

カウンセリングでは、相談者の「こころの中」という、実にパーソナルで繊細で、かつデリケートな部分を扱います。ですから、「この人になら話してもいいかな〜」と相談者の方が思ってくださるように信頼関係を構築していかなければなりません。また、「こころ」はとても傷つきやすいものなので、「こころ」を丁寧に扱うことができなければなりません。そのために、私自身は心理的な「距離感」というものを大切にしながらカウンセリングに臨んでいます。

みなさんには、こんな経験はありませんか?

洋服を買おうと入ったお店であれこれ見ていると、あなたと同じくらいの年の店員が近くにやってきました。そして、その店員は「それ、今日入ってきたばかりなんですよ〜。人気商品で売り切れていて、ようやく入ってきたんです〜。人気なので全国各地のお店で取り合いになっていて、一点しか入ってこなかったの。だから、今日のうちに売れちゃうかも〜。それに安くて、お財布にも優しいよ❤︎」と一方的にまくし立てるように、あなたに話し掛けてきました。最初は敬語だったのに、いつの間にか友達口調。そんな店員の態度にあなたは苦笑いするものの、そんなあなたに気にすることなく、店員は「あ〜、こっちの方が似合うかな?これも、最後の一点!買うなら、今がチャンス!」と話し続ける。何だか居心地が悪くなってしまって、あなたは何も買わずにお店を出てしまいました。

私には、こういう経験、結構あります!

他人が入ってくると不快になる物理的な空間のことを「パーソナルスペース」と言いますが、こころにも同じことが言えます。立ち入って欲しくないところにズカズカと立ち入られると、引いちゃったり、相手を信頼することができません。

上記のお店の店員の例だと、一方的にまくし立てるように話し掛けるのは、相手のペースを尊重できないということですし、本人はフレンドリーにしているつもりなんだろうけれども、ほぼ初対面の人に友達口調を使うのは、関係性の構築の相手のペースを無視している証拠です。「お財布にも優しい」というのがウリ文句だったのかもしれないけれど、他人のお財布事情を勝手に心配するのは、余計なお世話。こころのパーソナルスペースに土足で入ってこられたのですから、居心地が悪くなるのも無理はありません。このような店員は、お客のこころの「距離感」を読むことができていないのです。

その一方で、お店に入ってどうしようか悩んでいるのに全然関わってこようとしない店員もいますよね。違う色やサイズがないか確認してほしくてモジモジしているのに、声をかけてくれないどころか、目もかけてもくれていない。服は気に入って欲しいな〜と思うけれども、店員が声すらかけてくれないから「まあ、イイや〜」となってしまう。この場合も、お客さんとの「距離感」が読むことができていないのです。

カウンセリングでも、同じようなことが言えます。

カウンセリングは「困ったことや悩んでいることを話す場」として認識されていますが、だからと言って最初からそのことについて話ができるわけでもありません。カウンセラーだからと言って、会って即信用できる…というものでもないですからね。それなのにカウンセラー側が「◯◯についてはどうなんですか?」「あなたのXXについては〜なんだよね〜」などと、最初から問題を根掘り葉掘り聞き出そうとしたり、よく話しも聞かないうちに一方的な判断を下したりすると、せっかくカウンセリングを受けてこころが楽になるどころか、更にこころを傷つけてしまうということが起きてしまいます。かしこまった表現をする必要もありませんし、関係性が深まったら話は別ですが、相手を尊重するためにも最初から友達口調は避けるのが無難だと、個人的には思います。

このような心理的な「距離感」は目に見えるものではありません。ですから、その場の雰囲気や相談者の方の気持ちを推し量りながら、そのクライエントに合ったちょうどよいさじ加減を見極めていく。カウンセラーの力量が試されるところですし、相談者の方がよく心配される「カウンセラーとの相性」は、このさじ加減で決まるように思います。

カウンセラーとの相性を会う前から予測するのは不可能なことですが、一度カウンセリングを受けてみて、「距離感」が近過ぎたり遠過ぎたりしないだろうか?ということをひとつのモノサシとしてみると良いかも知れませんね。自分に合ったカウンセラーかどうか判断するひとつの材料となれば幸いです。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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