カウンセリングオフィスProgress

English Page

カウンセラーブログ

トップページ > カウンセラーブログ > メンタルヘルス関連の問題における男性と女性の違い

メンタルヘルス関連の問題における男性と女性の違い

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

ここ数日、日中の気温が25℃を超える日が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?私はこの日曜日に旭川でハーフマラソンを走ってきました!マラソン大会に出るのは今年2月に出た東京マラソン以来で、ハーフマラソンは2年前の札幌マラソン以来のこと。あまりにも久しぶり過ぎて、スタート前はとても緊張をして、トイレに何度も行ってしまいました(苦笑)。
結果は、2時間9分で大撃沈でした。この時期にしては珍しく気温が25℃を超えたせいもあって脱水症状が酷かったのに加えて、低血糖状態に陥って手足の末端がしびれてフラフラに…。給水したり、給食のバナナで補給したりするも追いつかず、途中1キロほど歩いてしまいました。こんなに辛いレースは初めてで、情けなくなってしまいました。とは言え、完全なる走り込み不足であったことは否めないので、それを考えるとまあまあだったのかな?と思えるのですが、やはりマラソンは「練習は嘘をつかない」スポーツなんですよね。ゴール直後は「もう、しばらく走りたくない!」と思っていたのが、翌朝には「また一から出直して、しっかり練習して大会に出よう!」と思えるのですから、マラソンとはなんとも不思議な魅力をもったスポーツです。

さて、先日は『秋にしたいメンタルヘルスチェック』ということでご自身で簡単にできるセルフチェックのポイントをお伝えしました。本日は、メンタルヘルスの不調やセルフケアにおける男女の違いについて取り上げたいと思います。

私が臨床心理士として勤め始めて、今年で15年目を迎えました。病院や公共の相談施設、中学や大学、そして企業など様々な場面で、多くの方のメンタルヘルスに関する相談業務に従事してきましたが、社会や文化的な要因を背景にして、男性と女性とではメンタルヘルスが不調になったときの訴え方(サインや症状)、そして、セルフケアの仕方の違いは、明らかに存在します。

メンタルヘルスの不調を訴えるとき、男性は総じて身体症状を訴えることが多いです。
『ツレがうつになりまして。」という映画をご存知ですか?
堺雅人さんが演じる”ツレ”さんの調子が悪くなり、ツレさんが心療内科のクリニックを訪れるのですが、医師から「典型的なうつ病ですね」と言われて驚きます。というのも、彼の主な訴えは、頭痛や背中の痛みだったからです。「うつ病」が気分障害のひとつとして分類されているのは、気分の落ち込みがこの疾病の顕著な症状だからですが、男性が「気分の落ち込み」を前面に訴えることはまずありません。ツレさんが訴えていた症状のほかにも、肩こりや吐き気、関節の痛みなどの身体症状も、実は「うつ病」の症状。

その一方で、女性の方が気分の落ち込みや不安感、焦燥感などの精神症状を身体症状よりも前面に訴えることが多いです。また、心療内科や精神科を受診する人の割合は、男性よりも女性の方が多いです。これはより多くの女性がメンタルヘルスの問題を抱えているというように捉えられがちですが、可能性としては、男性は心療内科や精神科を受診する抵抗感が女性よりも強い傾向にあり、受診を控えた結果として捉えることができることを忘れてはなりません。実際、統計では男性の自殺率は女性のそれよりも3倍多いと報告されています。これは、男性が問題をひとりで抱え込んでしまい、死の崖っぷちに立たされるくらいにまで我慢してしまう傾向にあることを顕著に反映した数字であると捉えることができます。

このような性差の背景には、社会的・文化的な要因が存在しています。

これは日本に限らず、先進諸国に共通している問題だと思いますが、「タフでなければならない」「弱音を吐いてはならない」などといった男性文化特有の刷り込みが、この性差の背景的要因のひとつとして考えられます。日本語には「女々しい」という表現がありますが、これは女という漢字を2つ重ねて「いくじがない」「柔弱である」という意味。これは男性にとっては否定的な意味合いしかありません。そうならないようにと男性は幼い頃から躾けられ教育されていますから、「弱い自分」を見せることへの抵抗が女性よりもはるかに強いのです。

また、今の社会は、自分の外側で起きている問題を解決することが優先される社会です。ですから、多くの人は自分の生活の中で起きている問題を解決することに対しては過剰なまでもの意識を向け、それに多大なエネルギーを投じていると思いますが、自分の内面や思考に対しては、ことさら鈍感な人が多い。自分が何を感じ、何を思い、どんなことを考えているか?ということに気づくことなく、時間だけが過ぎてゆき、気付いたらうつ病などのメンタルヘルスの問題を抱えていた…ということも少なくありません。特に男性は、上述したとおり「タフでならねばならない」と幼い頃から刷り込まれているので、なかなか自分の感情を出すことができない。以前からもお話しているとおり、ネガティブな感情は「良くないことが起きているぞ!」といったような生きていく上で不可欠なサインを出すという大切な役割があるわけですが、その感情に気づけないということは、自分の命を晒す危険性が高まると言うことなのです。男性の自殺率が女性の自殺率の約3倍というのも、無理ありませんよね。だって、気づくことができないのですから…。

もちろん、女性であっても感情を表に出さない人もたくさんいらっしゃいますが、総じて男性の方が表現下手です。もし、自分のお父さん、旦那さん、彼氏や恋人、男友達や男性の同僚で身体症状を訴えている人がいたら、メンタルヘルスの問題かもしれないという視点を持って接してみてください。ただし、できることには限りがありますので、ご自身がいっぱいいっぱいになってしまう前に、専門家に相談をして診療やカウンセリングにつなげていただきたいと思います。

当オフィスでもご相談に応じますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
お問合せ

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

English Page


lgbt Ally
lgbt Ally

カウンセリングオフィスprogress

〒060-0042
札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F