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「なりたい自分」へ近づくためのススメ

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

台風が立て続けに北海道に上陸していて、雨で蒸し暑い日が続いていますね。水害が出ている地域もありますので、みなさん、引き続き気をつけてお過ごしくださいませ!

さて、あなたは「今の自分」に満足をしていますか?それとも「今の自分」には満足ができず、「なりたい自分」のイメージは持っているけれども、なかなかそうなれないことに対して焦りや苛立ちを感じていますか?

アメリカの心理学者カール・ロジャーズは、「自分はこういう人間だ」という”自己概念”と実際に自分はこのような経験をしているという”実際の経験”が一致している”自己一致”の状態が、こころに安定には大切であると提唱しました。ロジャーズの理論に基づいて考えると、「今の自分」に満足している人は自己概念と実際の経験が一致していますが、そうでない人は自分が思う自分と実際の経験が一致していないが故に、焦りや苛立ちなどのこころを不安定にする要素が生じている状態にあるといえます。

ですから、「今の自分」に満足ができずにいる人には、”自己概念”と”実際の経験”の一致をいかにして大きくしていくのか?ということに焦点を当てたアプローチをしていく必要があります。特に、「なりたい自分」というイメージをクリアに持っている人に関しては、”実際の経験”を「なりたい自分」という”自己概念”に近づけていくアプローチを取ることで”自己一致”を図ることになります。

しかし、「なりたい自分」があるにもかかわらず、なかなかそうなれずに悶々としている人には、ある共通項があります。それは何かというと、ハードル(目標)を高く上げ過ぎてしまうということ。少し具体的な例を通して、これについて考えてみましょう。

私の知人は「行動力のある自立した人間になりたい」という「なりたい自分」のイメージを持っていました。具体的にどのようなことができる人が、彼のいう「行動力」があり「自立した」人なのか?と彼に尋ねてみると、「ひとりで海外旅行へ行ける人」という答えが返ってきました。確かに、ひとりでフラリと海外旅行へ行くためには、行動力があって自立していないとダメですもんね。なるほど…と思いました。

ただ、彼はシャイで控えめな人。お昼ご飯をとるためにひとりで外食することはできても、夜にひとりで飲みに出たりしたことはありません。いつも同僚か友人が一緒です。また、国内でひとり旅をしたことさえもありません。出張も誰かと一緒。欧米の文化として、外食はひとりよりもむしろ家族や友人と複数でするもの…という認識が高いためか、ひとりでレストランに入るのは結構勇気が要ります。私自身も、過去にワシントンDCやメルボルンに出張で行った際にひとりで食事するためにレストランに入ったことがあるのですが、ひとりで食事していたのは私のみ。ウエイトレスの「あなた、ひとりなの?寂しい人ね」的な視線が痛かったのを今でも覚えています。しかも、海外となれば言葉が通じないこともある。そんなことひとつとっても、ひとりで海外旅行へ行けるようになるにはクリアしなければならないハードルは結構あるんです。高い目標を立てる…ということが決してダメだと言っている訳ではありません。そこにたどり着くまでのスモールステップを細かく立てていく方法をオススメしたいのです。

行動の変化を促すためのひとつの方法に「暴露療法」というものがあります。これは名前の通り、不安や恐怖を引き起こす原因となっているものに「暴露しちゃいましょう!」という結構ワイルドな方法。例えば、高所恐怖症の人に「バンジージャンプをしてみましょう!」と高いところに引っ張り出す…というような荒治療。成功したときの効果は絶大なのですが、失敗したときのリスクも相当大きいのです。同様に、高い目標を立ててそれに直接チャレンジして成功すれば良いのですが、失敗したときは「やっぱり私はダメな人間だ…」などと自信を大きく失いかねないリスクが伴います。ですから、時間がかかるかもしれませんが、リスクをとるよりはスモールステップを設定して、コツコツと目標を達成して行く方が堅実に「なりたい自分」に近づけることができるのです。

最終的な目標に到達するために必要なことであり、今の自分が無理なく気軽にチャレンジすることが可能なことは何でしょうか?まずは、そこから考えてみてください。そしてそれがクリアできたら、その次にチャレンジできそうなことは何なのか?を考える…ということを繰り返し、最終的な目標にたどり着くまでの過程をリストアップしてみてください。リストアップしたら、それを行動に移すのみ。注意していただきたいのは、このリストは絶対的なものではないということ。行動に移してみて、それがあまりうまくいっていないようであれば、再度リストアップした内容や順番が妥当であるかを再検討してみてください。地道なプロセスで時間がかかるな〜と思うかもしれませんが、案外、これが「なりたい自分」への一番の近道のように思います。

「自分ではリストアップできない」「なかなか自分のことになると客観的にみることができないんだよね〜」とお困りの方もいらっしゃるかと思います。そういうときにカウンセリングを利用してみるというのもひとつの方法ですので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

急がば回れ。「なりたい自分」へ近づくためのススメです。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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