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ありますか、「こころの安全基地」?

札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

今日はオフィスのご近所にある最近のお気に入りのお店でランチしました。
オフィスが入っているビルを出て、ほんの30秒くらいの道のり(←近っ!笑)なのですが、
あまりにも風が冷たかったので、思わず温かいお蕎麦を頼んでしまいました。
本当に7月なんですかねぇ…。
暑いのは苦手な私ですが、夏が来る前に夏が終わらないことを祈るばかりです。

さて、今日のブログのトピックは、「こころの安全基地」について。

あなたは「こころの安全基地」とは、どのようなものをイメージするでしょうか?

「こころの安全基地」とはアメリカ人発達心理学のメアリー・エインスワースが
子どもと親との愛着関係の研究を通して形成された概念です。

人は生まれて1歳を過ぎるようになった頃から、歩き始めるようになります。
歩行は子どもがお母さんの元を離れて、新しい世界を探索することを可能にさせますが、
いくら好奇心が旺盛な子どもだとしても、新しい世界の探求には不安と恐怖がつきもの。
そこで、子どもはお母さんを「安全基地」として探索に出かけるのです。

歩き始めたばかりの子どもを観察していると、その様子がよくわかります。
子どもは自分の好奇心に従って、興味津々に外の世界へと歩き出しますが、
不安なことや新しい刺激に疲れてしまったら、お母さんの元へ戻ってきますよね。
そして、しばらく安心感を与えてくれるお母さんのそばに居て、
エネルギーチャージをして、また、新しい世界へと歩き出していくのです。

時々、一人で行動してはいるけれども、チラチラとお母さんの方を見る子どもがいますよね?
それは、自分の「安全基地」がちゃんとあるということを確認するための行為。
何が起きるかわかりませんから、「安全基地」は目の届くところに確保しておきたいのです。
こうやって子どもは少しずつ物理的にも心理的にも、親から自立していきます。

「安全基地」というコンセプトは、元々はこのような幼少期に見られた
特徴的な行動から概念化されたものですが、不安を受けとめてくれたり、
こころのエネルギーチャーチをしてくれる「こころの安全基地」は、
大人になっても私たちには不可欠なものなのです。
というのも、私たちが生きる現代社会は、不安や恐怖、緊張の連続だから。

先行きが不透明な経済状況や社会の中で激化する競争。
職場では表面的な付き合いや駆け引きに翻弄され、
職場以外でも社会人や親として責任ある行動を求められる毎日。
そして、大きな自然災害やテロリズムなど…
いつどこで何が起きてもおかしくはない状況に晒され、
今や私たちは、鎧なくしては生きていくことはできません。

だからこそ、安心して鎧を脱いで、
これらの不安や恐怖、緊張から解放される
「こころの安全基地」という存在が不可欠なのです。
「素」の自分に戻って本音や弱音を吐き出せる場を持つことで初めて
不安や緊張が和らぎ、「また頑張ろう!」という気持ちにもなれるのです。

「こころの安全基地」は、自分の親だけではありません。
パートナーや家族、恋人にその関係を見い出すことができればラッキー。
友だちでも職場の人でも、SNS上の仲間でも、もちろんOKです!
情けないダメな自分でも受けとめてくれたり、
慰めあったり、応援しあったりできる人がいたら、
その方と「こころの安全基地」として良い関係を育んでください。

ただし、注意して欲しいのは「こころの安全基地」
となる関係を一つだけに限定しないこと。
なぜならば、ある一つの関係だけに付き合いが集中してしまうと、
その関係においてトラブルが発生したとき、「安全基地」の確保が難しくなるからです。
ストレスコーピングと同じで、引き出しはたくさんあった方がベターです!

あなたには「こころの安全基地」はありますか?
あなたのこころを癒し、一歩前に進む勇気を与えてくれる
「こころの安全基地」を今一度確認しておきましょう!

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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