札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

今日は7月1日。
つまり、2016年も前半が終わり、後半に突入したということ。
そんなことを考えていたら、ちょっと焦りが出てきました。

さて、先日、小野リサさんのライブに行ってきたお話をしましたが、
その際、彼女は「Que sera sera」を歌ってくれました。
（知らない方は右のリンクからチェックしてみてください→こちら）

以前から曲自体は知っていたものの、
あまり歌詞について考えたことはなかったんです。
それが先日の小野リサさんのライブで聴いて、
「あ〜、この歌はこんな歌詞だったんだ！」
と、その素敵な歌詞に初めて気づきました（遅っ！）

特に、"The future's not ours to see"の部分にえらく感銘を受けました。
これは「未来は私たちが見ることができるものではない」という意味。
つまり、未来は予測することができない。
だから、"Que sera, sera.  Whatever will be, will be"
「物ごとはなるようになる。なるがままにまかせよう」な訳なんですよね。

なぜ、こんな話をしたのかというと、
私たちは少し「未来」というものに囚われ過ぎなのでは？と思ったからです。
私が今朝身支度をしながらラジオから流れるDJのトークを聞いて、
初めて今日が7月1日だとわかった途端、私の中では
「えー、もう2016年の半分が終わっちゃったの！？」という脳内トークや
2016年の終わりという「未来」がイメージされたました。
そして、「そのときまでに、こうなっていたい」
「そのときまでに、こうなっていなければならない」
などの考えが「焦り」という感情を引き起こしたんですよね。

「未来」は予測することが不可能なのに、
私たちは「理想の未来」に向かって計画を立てて、
脇目も振らずに、ずっと先の方を向いて日々努力を重ねています。
それは、真っ暗闇の中で遠くに光る一点の小さな光しか見ずして、
一生懸命前に進んでいるような感覚に似ているのかもしれません。

遠くばかり見ることに気を取られていると、
自分の近くのものは目に入ってきません。
自分の足元に大きな穴があったとしても、
気づかずに落ちてしまうでしょう。
そうなってしまっては、元も子もありません。

未来に対する希望や不安ばかりに夢中になっていると、
「今」の姿がよく見えなくなってしまいますが、
未来を大切にしたいなら、「今」こそを大切にすべきです。

現在、起きている出来事に対して、
「今の自分」が無理なくできることや、やりたいことをしていく。
計画通りに行かなくても、計算通りにならなくても、
「今」という瞬間を楽しむことができればOK…くらいに
考えている人の方が、人生がうまくいっていたり、
幸せを感じていたり、こころが安定しているように思います。

とは言え、人間ですから悟りを開いた僧侶のように
最初から「何も求めないでいる」というのは無理でしょうから、
「理想の未来」や「こうありたい自分」にこだわり過ぎないことも
日頃から意識できれば良いのではないでしょうか。

つい先日、私がちょっとしたことで不安になっていたとき、
所属するランニングチームの仲間の年上の男性に
「Que sera sera〜だよ」と言われました。

その方は今年のサロマ湖100kmマラソンを完走されました。
実に、5年越しの念願の完走だったのです！
毎年のように彼の頑張りを見てきていましたが、
もしかすると、去年までは「完走するという未来」に
囚われてしまっていたのかも知れませんね。
怪我や故障をしていたにもかかわらず、
無理を重ねていたように見えました。

でも、今年の彼は違いました。
「今の自分」を大切にしてコンディションをまず第一に考え、
無理なく自分ができることをコツコツと積み重ねてきていました。
今となっては、彼の「Que sera sera〜」のスピリットが、
彼を完走へと導いたのだ、と私は思っています。

今という瞬間を大事にできること、そして、今の自分を受け容れられること。
この二つを大切にできたなら、必然的に「理想の未来」や
「こうありたい、こうなりたい自分」が向こうからやってくるように思います。

Que sera sera, whatever will be, will be.
未来を大切にしたいなら、大切にするのは「今でしょ」！

私も2016年の大晦日の「理想の未来」に囚われることなく、
「今の自分」が無理なくできることを一つずつ積み重ねていきたいと思います。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士　　向　裕加