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凹んだっていいじゃないか、にんげんだもの

札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

昨晩は市民ホールで開催されたライブへ行ってきました。
とても素敵な音楽に癒された2時間でした。


夏になると、なぜかbossa novaが聞きたくなります。
特に、日曜日の晴れた朝は、ベッドから出てすぐにbossa novaのCDをかけて、
アイスコーヒーを飲みながらマッタリとするのが大好きです。
柔らかで軽快な音色のbossa nova、リラックスタイムにオススメです。

さて、人生には悲しいことや悔しいこと、落ち込むことはつきものですよね。
たくさん練習したのに本番でうまくいかなかったり、
一生懸命頑張っていた仕事で失敗をしてしまったり、
大好きな人に振られてしまったり、受験や就活に失敗してしまったり…。

このような挫折を経験したとき、みなさんはどのようなリアクションをしますか?

「いつまでもクヨクヨしても仕方がない」
「嫌なことは忘れて、次、次!」
「前進あるのみ!」

以前からネガティブな感情の扱い方についてはこのブログでも取り上げていますが、
往々にして、私たちはネガティブな感情を表に出すことはよろしくないと思い込んでいます
だから、ネガティブな感情を平気な顔をしてやり過ごしたり、
ポジティブシンキングで気持ちの切り替えを図ろうとする。
自分の感情を常にコントロール下に置くことができるのが大人の証拠。
そんな風に思ったりしてはいませんか?

辛いことや悲しいことがあった、失敗をしてしまった…。
そんなときに気分が落ち込んだり、凹んだりするのは人間として当然のこと。
それなのにもかかわらず、そんな気持ちを十分に受けとめることせずして、
「ポジティブに!」とか「前向きに!」などと無理矢理に
自分の気持ちを切り替えようと躍起になっている人は結構います。

自分がそのような感情と向き合うのがしんどいのではなく、
むしろ、自分が落ち込んでいたり、凹んでいたり、暗くなっていたりすると、
「周りまで嫌な気持ちにさせてしまうのではないだろうか?」
という脳内トークが、ネガティブマインドをポジティブマインドへと変える
変換スイッチを本人が気づかないうちにONにさせているのです。

同様に、その人の周囲の人たちも、そんな落ち込んだ人の気持ちに
自分の気持ちまでをも左右されたくないので、
「終わったことを考えたって仕方がないよ!」
「次があるよ。次、頑張れば良いよ!」
「前を向いて歩いていこう!」などと、
その人をポジティブにさせようと必死になるわけです。

これらのセリフには、隠されたメッセージが潜んでいるのですが、
それが何だかお分かりになりますか?

「落ち込んではいけない」「凹むな!」という禁止のメッセージ

「落ち込んでいる自分は、受け入れてもらえない。
 凹んでいる自分は、認めてもらえない。
 だから、ポジティブにならなければならない。」

落ち込んでいる本人は、このような脳内トークに支配され、
感じて然るべき気持ちをますます感じることができなくなり
それとは真逆の方向へと舵を切ることになってしまいます。
そして、そこには必要以上のエネルギーが投じられるのです。

本当は悲しいのに、場の雰囲気を壊したくないと
無理矢理笑顔を作ったという経験はありませんか?
その場ではそんなに感じないのですが、
その場を離れた瞬間にドッと疲れが押し寄せてきた…
なんてことを経験したことがある人は少なくないと思います。

それは感じてしかるべき感情を押し殺すことに費やされるエネルギーと
そこには存在しない感情があたかもあるかのように演技するために
費やされるエネルギーの両方が必要だから。
必要以上のエネルギーがそこに投じられるとは、まさにこのことなのです。

ある程度の健康な人は、誰でも自己治癒力を持っています
ですから、落ち込んでも凹んでも、自然に回復していけるはずです。

むしろ、落ち込んだり凹んだりしたときこそ、
ポジティブになろうとすることを極力避けていただきたい。
それは先に述べた通り、ポジティブになろうとすることに
必要以上のエネルギーが投じられることによって、
自己治癒力に必要とされるエネルギーが逆に消耗されてしまうから。

では、どうすれば良いのでしょうか?

どっぷり落ち込んで、どっぷり凹んでください。

悲しいラブソングを聴くもよし。泣くもよし。
話を聞いてもらえそうな人がいるのであれば、
辛い気持ちや悔しい気持ち、悲しい気持ちを語るもよし。
夕陽に向かって「馬鹿やろう〜!」と叫んでもよし。

そして、周りの人はときにはそばにいて、
ときには一人にしてあげてください。
黙って静かに話を聴いてあげてください。
背中にそっと手を当てて、”手当て”してあげてください。
どっぷり落ち込んで、どっぷり凹める環境を作ってあげてください。

どっぷりとその感情に浸れたとき、
自然と気持ちは上向きになっていくはずです。
そのときが「前向きに」、そして「ポジティブに」なるタイミングです。

それでも気持ちが上向きにならないときは、
ひとりで頑張ろうとしないでくださいね。
ひとつの目安としては、気分の落ち込みが2週間以上続いていたら、
それはこころの専門家の力を借りる時期だと考えてください。

「落ち込んだって、凹んだっていいじゃないか!」

そう自分にOKを出せることが、
何よりの自己回復への近道かもしれません。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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