わたしの中の「脳内トーク」
札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。
今日の朝ランは、日曜に開催されるサロマ100kmウルトラマラソンの
完走祈願のために、こちらまで走っていってきました。
一歩境内の中に入るとそこには静寂さが広がっていて、
小鳥のさえずりが心を穏やかにしてくれました。
さて、このような心穏やかなひとときとは裏腹に、
私たちの日常生活は、些細なストレスで満ち溢れています。
ちょっとしたことに腹を立てたり、ちょっとしたことで落ち込んだり、
ちょっとしたことでイライラしたり、ちょっとしたことで悲しくなったり…。
このように感情が揺さぶられたとき、頭の中では何が起こっているのでしょうか?
思考と感情、そして、行動は、それぞれが互いに影響し合っています。
しかし、その関連性については、あまり意識されていません。
「イライラしたとき、どんなことが頭の中に浮かんでいましたか?」
と訊かれると、相談者の方は大抵
「頭の中に何が浮かんでいただなんて、
そんなの分かりませんよ。
ただ、イライラしていたんです」
と返答されることが多いのですが、
何もなくイライラすることはありません。
ストレス状況下で起きた出来事をどのように捉えたか?によって、
その後の引き起こされる反応(感情や行動)は異なってきます。
つまり、この「どのように捉えたのか?」が、
その後の感情や行動を決定する重要な要因なのです。
同じ出来事を経験していても、それがストレスになる人と
ストレスにならない人がいるのは、この違いによるところが大きいです。
さて、この「どのように捉えたか?」ということを
心理学では「認知」と呼んでいます。
「認知」というとちょっと難しそうなものに聞こえますが、
そうでもないのでご心配なく!
ちょっと想像してみてください。
友だちにLINEでメッセージを送りました。
既読になっているにもかかわらず、返事がありません。
あなたの脳内では、どんな”脳内トーク”が展開されているでしょう?
「私、嫌われているのかな?」
「私のメッセージで、何か悪いところがあったのだろうか?」
「きっと、忙しいから返事する時間がないんだね」
「何かあったのかな?具合でも悪いのだろうか?」
このように、ある出来事に遭遇したときに瞬時に頭の中に
浮かんでくる”脳内トーク”を心理学では「自動思考」と呼びます。
自分の意志とは裏腹に勝手に浮かんでくるので「自動」なのです。
私たちの生活は、この「自動思考」が浮いては消え、浮いては消えの連続です。
人は一日3万回~7万回もの自動思考を繰り返していると言われています。
しかし、自動思考が浮かんでは消え…のスピードがあまりにも速いので、
普段は私たちはこの”脳内トーク”に気付くことなくスルーしてしまっています。
「私、嫌われているのかな?」
「私のメッセージで、何か悪いところがあったのだろうか?」
という自動思考は不安や憂鬱といった感情を引き起こし、
くよくよと何度も同じことを考えたり、「私のこと嫌いなの?」という
LINEメッセージを送る…などの行動を引き起こしたりするでしょう。
一方で、
「きっと、忙しいから返事する時間がないんだね」
「何かあったのかな?具合でも悪いのだろうか?」
という自動思考はネガティブな感情を引き起こすことはなく、
返事が来るまで待つことができたり、「何かあったのかな?」と
相手を思い遣るメールを送ったりすることができる…など、
その後の行動は、先ほどの自動思考とは
全く異なったものになることがわかるかと思います。
例えば、以下のようなシチュエーションのとき、
あなたの頭の中で瞬時に起きる”脳内トーク”はどのようなものでしょうか?
- 1週間後に大勢の人の前でプレゼンするように言われたとき
- 上司に叱られたとき
- 一対一で話をしているときに、沈黙に陥ってしまったとき
ちなみに、私の”脳内トーク”はこんな感じです。
- 「苦手なテーマなのに、ちゃんとできるかな…」
- 「私だって一生懸命やったのに、そんな叱り方しなくたっていいじゃない!」
- 「どんな話をしたらいいんだろう?」
自動思考をたくさん検証していくと、ある一定の思考パターンが見えています。
特にストレスを感じやすい状況下では、
ある特定に思考パターンに陥っていることが少なくはありません。
ただ、先ほど述べたとおり、自動思考の浮き沈みはあまりにも速いので、
まずは、この自動思考をキャッチできるようになることが大事になってきます。
直ぐキャッチできるようになるのは難しいのですが、
お稽古事と同じで練習を重ねていくことによって、
簡単にキャッチしていくことが可能になります。
自分の頭の中で展開されている”脳内トーク”をキャッチして、
ストレスを引き起こしているかも知れない
自分自身の思考パターンを見つけてみませんか?
ストレス軽減に向けた第一歩です。
カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士 向 裕加