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カウンセラーブログ

リリーのすべて

札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスです。
札幌は不安定でパッとしない天気が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?

私の趣味のひとつに映画鑑賞があります。
前職の札幌学院大学では、映画を通して人の心理を学ぶという講義もしていました。
このブログでも、時々、映画の紹介をしていきたいと思っています。

早速ですが、今日は先月観た
『リリーのすべて』という映画のご紹介をさせていただきます。
リリーのすべて.jpg(画像はお借りしました)

『リリーのすべて』は、90年も前に世界で初めて性適合手術を受けた
リリー・エルベというデンマーク人画家の実話に基づく作品です。

トランスジェンダーという言葉や概念は、今でこそ身近なものとなってきましたが、
そのような言葉や概念自体が存在しなかったであろう1920年代に
自分の身体と心が一致しないことに苦悩した風景画家アイナー・ヴェイナーが、
妻であるゲルダの理解と協力を得て、「自分らしく生きるため」に
命懸けで世界初の性適合手術に臨むまでの過程が描かれています。

見せかけの自分と本当の自分。
自分らしく生きようとすれば、自分だけでなく愛する人までをも傷つけてしまう。
けれども、愛する人を守ろうとすれば、自分を殺して生きなければならない。

そんなアイナーの心理的葛藤が、繊細に表現された素晴らしい作品でした。

私がこの作品に興味を抱いたのには理由があります。
以前、札幌医科大学付属病院の神経精神科に勤めていたとき、
同様の悩みで専門外来を訪れていたトランスジェンダーの方たちの
対応を担当していたことがあったからです。
正確な数はわかりませんが、150名前後の方の対応をさせていただいたかと思います。

世界初の性適合手術から90年以上経った今でも、
手術を受けない限り解消されないことを考えると、
トランスジェンダーの方たちの本質的な苦悩は
相当深いものであるということを改めて痛感しました。

また、当時私が担当した方たちの顔が蘇ってきて、
あの方々が今は自分らしく、幸せな人生を
送っていることを願わずにはいられませんでした。

私にとっては、色々なことを考えさせられた作品でしたが、
映像はとても美しく芸術的で、出演している俳優・女優の
繊細かつ力強い演技は目を見張るものがあり、
ストーリーも素晴らしい映画なので、
お時間があれば是非とも観ていただきたいオススメの映画です。
(ゲルダ役の女優は、アカデミー賞で助演女優賞を受賞しています)

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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