カウンセリングオフィスProgress

English Page

カウンセラーブログ

トップページ > カウンセラーブログ > 「母の愛情」と思われるものの裏に潜んでいるもの その2

「母の愛情」と思われるものの裏に潜んでいるもの その2

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

先週は、ついに初雪が降りましたね!今日も最高気温が8℃との予報。秋を通りこして、もはや冬か?というくらいの寒さです。そんなこんなで治りかけていた風邪をぶり返してしまい、私は週末は寝込んでしまいました。自宅に引きこもって、ひたすら寝る、寝る、寝る。こんなにも寝れるのか?とビックリするくらい寝たら、今朝はスッキリ爽やかに目を覚ますことができました。休息大事です。

さてさて、本日のブログは前回の続きをお届けしていきたいと思います(前回のブログがまだという方はリンクからどうぞ!)。

高校生のときに突然明確な理由もなく学校に行けなくなってしまった彼女は、1年ほどの期間を経て、ようやく復学。とは言え、1年も学校を休んでいたため必然的に単位数が不足しており、卒業は1年遅れることとなりました。そのことを引け目に感じていた彼女は、地元を離れて、誰も自分のことを知らない土地で一からやり直すことを希望したのですが、愚痴を聞いてくれる唯一の存在だった娘がいなくなってしまうと危機感を抱いたのか、母親はもちろん大反対。母親に対して「申し訳ない」と罪悪感を抱きつつも、なんとか彼女は他県の大学に進学することとなりました。

初めての一人暮らしで寂しかったこともあり、彼女も当初は毎日のようにくる母親の電話をとてもありがたく感じていました。しかし、大学生活に慣れてきたのでアルバイトを始めてからというものの、母親からの電話に出ることができない日も増えてきたところ、今度は頻繁にメールが届くようになりました。「いつだったら電話で話せそう?教えてね。その頃に、お母さんから電話するわ。」そして、彼女が素直にメールに返事をすると、その時間きっかりに母親から電話がかかってくるのです。

「そんなに遅くまでアルバイトしなくても良いんじゃない?大学での勉強にも影響するでしょ。」
「電話にも出ることができないだなんて、そんなに忙しいの?体を壊さないか心配だわ」

母親との電話は一見するといつも彼女のことを心配する言葉掛けからスタートしますが、いつの間にか、母親が一方的に父親の悪口や愚痴をこぼす時間にすり替わるのでした。一応、地元では名士として名が通っている父親の家庭内での悪態は、恥であり、名士として名を汚す行為。何としてでも、それを外に出すわけにはいかないのです。唯一話せる相手であった彼女が家を出たことで、母親は一度息子である彼女の弟に愚痴をこぼしてみるのですが、彼は「そんなこと、俺に言ったってどうしようもないだろ?そんなこと、父さんに直接言えよ!」と一蹴。そして、「こんなことを話せるのは、あなただけなのよ。お母さんの気持ち、あなたならわかってくれるわよね。」という母親の言葉に、「お母さんの猛反対を振り切ってまで家を出て、大学にも行かせてもらっているのだから、このくらいしてあげないと親不孝だわ」と聞き続けるしかなかったのでした。

彼女は不登校だった高校時代の1年間の空白を取り戻すかのように、大学生らしい生活を謳歌していました。サークル活動にアルバイト。たくさんの友達ができて、彼氏もできました。忙しくも充実した毎日を過ごしていると、母親からのメールに対する返事が遅くなったり、電話に出れなかったりすることは、更に増えていきました。正直なところ、父親の愚痴を聞かせられる母親からの長電話を重荷にすら感じ始めてきていたのですが、母親はそんな彼女の気持ちを察してか、チクリチクリと彼女の罪悪感を刺激するようなセリフを投げかけてきます。

「あなたは楽しそうで良いわね」
「そうやって楽しい大学生活を送れているのは、誰のおかげかしら」
「私ひとりが我慢すれば済むことだから」

そんな母親の言葉を耳にするたびに「お母さんを見捨てたみたいで申し訳ない」という罪悪感に苛まれ、「うん、うん」「お母さんも大変ね〜」「そうだったの」と、彼女はいつものように母親の話をひたすら聴くしかできませんでした。また、ふとした拍子に「私ばかりが楽しい思いをして良いのだろうか?」という罪悪感が生じるようになり、以前のようにサークル活動やアルバイトが楽しめなくなってきてしまったのです。友達との付き合いも心から楽しむことができず、彼氏との関係も徐々にギクシャクしてきました。

特に何か大きな問題が起きたわけではありませんが、その頃から、彼女は「何かが違う」という違和感を抱き始めます。しかし、この感覚がどこからやってくるものなのか?誰に相談して良いものなのか?どうやったら解消されるものなのか?が全くわからず、長いこと、この「何かが違う」という違和感と共に悶々とした生活を送ることになるのでした。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

English Page


lgbt Ally
lgbt Ally

カウンセリングオフィスprogress

〒060-0042
札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F