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キラーストレスに負けないための「コーピング」とは?

こんにちは。
札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

週末、二夜連続で放送されていたNHKスペシャルの
シリーズ「キラーストレス」をご覧になりましたか?

一夜目はすっかり失念しておりまして(汗)
リアルタイムで観ることができなかったのですが、
(再放送の録画予約はしっかりと入れましたよ!)
昨夜の「第2回目 ストレスから脳を守れ 
        〜最新科学から迫る対処法〜」は、
ちゃんとリアルタイムで観ることができました。

ストレスがかかったときは、脳内の扁桃体が信号を発し、
副腎からコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。
このコルチゾールが脳内の海馬の神経細胞の突起を蝕み、
海馬の萎縮を引き起こしていることが
最近の研究で明らかになってきているそうです。
そして、この海馬の萎縮が、うつ病につながっている可能生がある
…などの最新の研究の知見が紹介されていました。

そして、実際の対処法として紹介されていたのは、
「コーピング」と「マインドフルネス」という二つの方法。
今日はそのうちの「コーピング」についてお話ししたく思います。

「コーピング」とは、ストレスがかかったときに、
自分の気分を少しでも上げてくれる”気晴らし”のようなもの。
常に過酷なストレス環境に晒されている宇宙飛行士も、
日頃からストレス対策にコーピングを取り入れているそうです。

コーピングには、頭の中で行う「認知的コーピング」
行動を通して行う「行動的コーピング」の2種類があります。
こうやって説明すると「何だか難しそうだな〜」と思うかも知れませんが、
これは私たちが普段から何気なく使っている身近なものなのです。

例えば…
何か心配なことがあったとき、
「まあ、考えても仕方ないから気にしないようにしよう」
と頭の中で思うのは、実は「認知的コーピング」です。
また、仕事で忙しいときに「今週の金曜日は仲良しメンバーで女子会だ!」
と楽しい時間のことを頭に浮かべることはありませんか?
これも認知的コーピングの一例です。

では、行動的コーピングには、どんなものがあるでしょうか?
例えば、お酒を飲んだり、愚痴をこぼしたり、
お風呂に入ったり、散歩に行ったり、徹夜をして頑張ったり…etc.、
ストレスそのものの直接的な解消には繋がらなくとも、
ストレスを和らげるためにされている行動は、
コーピングとみなすことができます。

「コーピング」とはどんなものなのかのイメージは湧いたかと思うのですが、
みなさんはストレスに対してどのようなコーピングをされているのでしょうか?

昨晩のNHKスペシャルに登場した臨床心理士の伊藤絵美先生は、
コーピングについて、大事なのは「質より量」であり、
どんなにしょぼいコーピングだとしても
たくさんある方が良いとおっしゃっていました。

それはなぜでしょう?

ストレス体験に対してあるコーピングを試してみて効果があればOKですが、
なければ別なコーピングに切り替えるということが重要だからです。
例えば、「お酒を飲む」というコーピングしか持っていない人は、
ストレスがかかったとき、とにかくお酒を飲み続けるしかありません。
お酒を飲み続けることで体調が悪くなったとしても、
「体調が悪い」というストレスに対して、
「お酒を飲む」ことしかできなくなるのです。
これが続くと、どうなるでしょう?
お察しの通り、依存症になってしまう危険性が高くなりますよね。
ストレスを和らげる気晴らしだったはずの「お酒を飲む」という行動が、
いつの間にかストレスの原因になってしまう。これでは本末転倒です。

ですから、「どんなにショボくてもたくさん!」をモットーに、
100くらいのコーピングレパートリーがあるのが理想的です。
「えー、そんなに思いつかないよ!」と思うかもしれませんが、
「どんなにショボくてもOK」ということであれば、案外出てくるものです。
私も、早速、コーピングをリストアップしてみました。
その一例をご紹介します。

  • 寝る
  • キャベツの千切りをする(最近の私のお気に入りです。笑)
  • 昔、飼っていた猫との楽しい時間を思い出す
  • 宝くじが当たったときのことを想像する
  • 近所を散歩する
  • 綺麗なお花を買ってきて、自宅のテーブルの上に飾る
  • 自分に良い刺激を与えてくれる人に会う
  • 「よく頑張ってるよね」と、こころの中で自分を励ます
  • 雑巾を縫う                  ...etc.

こんな感じで十分です。
番組の中で「なるほど!」と私が思ったのは、
「イチローだったら、どう考えるか?」など、
有名人や自分が尊敬する人だったら、
このストレスな場面をどう乗り切るだろうか?
ということをイメージする方法。
これも、なかなか良い認知的コーピングですよね!

もし、自分だけで行き詰まってしまったときは、
家族やお友達、職場の人や知り合いなどに
「あなたのコーピング(ストレス解消法)って何?」
と訊いてみると良いでしょう。
自分では思いつかなかったような「それ試してみよう!」
と思える新しいコーピングに出会えるかも知れません。

あと、もう一つ大事なのは、これをリスト化すること。
つまり書き出してみる…ということです。

昨日のNHKスペシャルの中で研究が紹介されていたのですが、
前頭葉を活性化は、扁桃体の活動を抑制する
ブレーキの役割を果たしていることがわかっているそうです。
書き出したコーピングリストを見ることで視覚的な認識が促され、
脳の前頭葉の働きが活性化されます。
前頭葉の活性化は扁桃体の活動を抑制するので、
扁桃体からストレスホルモンを分泌する
副腎への信号の発信も抑制されます。
つまり、ストレスホルモンの分泌も抑えられるということなのです。

コーピングは、それほど難しいことではありません。
日々の生活の中でできる小さなことを続けることで、
ストレスから自分を守ることは可能です。
しかし、コーピングを意識して用いることができていなかったり、
レパートリーが乏しかったりすると、
ストレスにやられてしまう可能性は高いです。

ストレスにやられっぱなしな人生ではなく、
ストレスをコントロールできる力を身につける。

そのためにも自分自身のコーピングについて、
時間をかけてじっくりと考えてみませんか?


カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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