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大丈夫そうで大丈夫じゃない「大丈夫」という言葉

札幌大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向です。

今日はオフィスに来る途中にお神輿を見かけました。
気づけば、今日は6月15日。
北海道神宮祭の本祭の日ですものね。
子どもの頃は学校が半日で終わりになって、
中島公園の出店へと友だちと繰り出したものですが、
大人になってからはというものの、人混みが苦手になってしまい、
お祭りとはすっかり縁遠い生活となってしまいました。

さて、昨日に引き続き、今日も日常生活の中で私たちが
よく使う言葉についてのお話をしようと思います。
今日のキーワードは、ズバリ「大丈夫」。
昨日の「頑張って!」や「頑張ります!」のように、
みなさんも頻繁に使われている言葉だと思います。

その昔、英語教師として来日していた大学時代の友人が
「”大丈夫”と”仕方ない”って便利な言葉だよね〜」と言っていた通り、
気軽に使えて、応用の範囲が広いので、確かに便利な言葉だと思いますが、
私は臨床場面では可能な限り使わないように心掛けています。

それはなぜだと思いますか?

カウンセリングに来られる相談者の多くは、
自分のことよりも他人を優先させてしまいがちな人。
自分の気持ちに蓋をして周りに合わせようとするがあまりに
こころのバランスが崩れてしまっているので、
そういう人に「大丈夫ですか?」と訊いたところで、
「大丈夫です」としか戻ってこないことは容易に想定できるからです。

みなさんの日常の会話を振り返ってみてください。
とても具合が悪い時に「大丈夫?」と訊かれて、
「いや〜、大丈夫じゃない」とか「めちゃくちゃ具合悪い」と
本当のことを率直に言えている人は、どのくらいいるでしょう?

仮に「ちょっと風邪ひいちゃって具合悪いんだよね〜」と言えたとしても、
「でも、大したことがないから心配しないで」などと付け加えたりして、
自分のことよりも相手に余計な心配をかけないことを
無意識のうちに優先させてしまっている人は多いと思います。
そうなると「大丈夫?」と訊かれることさえも辛くなってきちゃいますよね。

先日、管理職に就いている40代後半の男性にこんな相談をされました。
「うちの職場の若いのに最近メンタルの調子が悪そうな奴がいて、
 心配だから声を掛けているんだけど、
 本人は『大丈夫です』としか言わないんですよ。
 明らかに大丈夫そうじゃないのに…。
 どうしたら良いんですか?」

みなさんなら、どんなアドバイスをされますか?

私は、先ず、この管理職の方が若い部下に
何と声を掛けているかを確認しました。
そして、案の定、
「何か調子悪そうだけど、大丈夫か?」
と声を掛けていることが判明。
部下が「大丈夫です」としか答えないのも納得です。
この男性には「大丈夫か?」の代わりに、
「いつもの君らしくないけど、どうしたのかな?」
と声を掛けてみるようにアドバイスをしました。

早速、この男性が声の掛け方を変えてみたところ、
その部下からは、最近プロジェクトのリーダーに任命されたが、
なかなかうまくプロジェクトチームをまとめることができず、
眠れない日々が続いていて心身ともに追い詰められていた…
と告白されたそうです。

大丈夫そうで大丈夫そうじゃない人に声を掛けるときは、
「大丈夫?」というYes/Noで回答できるような
”閉ざされた質問”はできるだけ控えて、
「どうしたの?」「何があったの?」といったような
話が展開しやすくなる”開かれた質問”がオススメです。

是非、日常生活の中でも試してみてください。

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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