カウンセリングオフィスProgress

English Page

カウンセラーブログ

トップページ > カウンセラーブログ > 新しい経営戦略としてのメンタルヘルス対策

新しい経営戦略としてのメンタルヘルス対策

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

今日の午後はSTVで仕事だったので外に出ていたのですが、雨が降っていたので昨日までのツルツルだった路面とは打って変わって、溶けた雪でじゃぶじゃぶ!歩きやすくはなりましたが、靴が濡れるので長靴が欲しくなりました(苦笑)。

さて、先日、私の名刺↑を作ってくださっている丸吉日新堂印刷の阿部社長から、興味深いお話をお伺いしました。どんなお話かというと、あるチェーン店のクリーニング屋さんのお話。

そのクリーニング屋さんの受付の方が、あるとき40代の女性に変わったそうです。その方は笑顔がなく、いつも疲れている様子だったとのこと。彼女の不機嫌な態度は、お客様にも伝わるほどだったそうです。阿部社長ご自身も「家で何か嫌なことがあったかな?元気出してよ!」と心配されていたそうですが、そんな心配を他所に、そのクリーニング屋さんの客足はどんどんと減っていき、あっという間に閉店となってしまったそうです。

その1ヶ月後、同じ場所に違うクリーニング屋さんがオープンしたそうなのですが、新しいクリーニング屋さんの女性店員がとても感じの良い方だそうで、その方に会うとご自身の気持ちも晴れやかになって元気が出るので、阿部社長はわざわざそのお店にクリーニングを持っていくそうです。恐らく、同じようなお客様が多いのでしょう。オープンして3ヶ月、そのクリーニング屋さんは大繁盛しているとのことでした。

このお話に私が興味を持ったのは、やはり「働くヒトの心」は企業にとって大切な資本であるということが明確な事例だからです。

閉店にまで追い込まれたクリーニング屋さんで働いていた40代女性の不機嫌な態度は、何が原因だったのでしょうか?職場での人間関係でしょうか、それとも、阿部社長が心配されていたように家庭で何か嫌なことがあったのでしょうか?

ある領域における役割での状況や経験が、他方の領域における役割での状況や経験に影響を及ぼすことを「スピルオーバー」と言います。例えば、職場で不公平なことを経験して帰宅後もイライラが収まらなかった(「仕事→家庭」)り、出勤前にした夫婦喧嘩のために仕事中でも嫌な気分を払拭できない(「家庭→仕事」)状態がその例です。

また、ある生活領域で経験したストレス反応の状態が、その人と関わりのある他の人に伝播されることを「クロスオーバー」と言います。40代の女性の不機嫌な態度がお客様や他の従業員の気持ちを暗いものにさせたのも、新しいクリーニング屋さんの女性の気持ちの良い接客がお客様や同僚に元気を与えたのも「クロスオーバー」の現象が起きていたということになります。

スピルオーバーの現象も、クロスオーバーの現象も、ネガティブなものは悪循環が形成されがち。一度悪循環に陥ってしまうと、このチェーン店のクリーニング屋さんのように、たった一人の従業員の心理状態が、少しずつながらも企業の経営に大きな影響を与える可能性は否めません。もしかすると、早い段階で彼女の心理的なケアに取り組むことができたとすれば、クリーニング屋さんは閉店にまで追い込まれなかったかも知れません。

クリーニング屋さんの事例にもあるように、従業員の心身の健康は生産性や業績に直結します。しかしながら、ほとんどの企業では身体的な健康づくりに取組んでいるものの、心の健康づくり(メンタルヘルス)に積極的に取組んでいる企業は多くはありません(特に北海道では!)。もしかすると、取り組みたいけれども、何をどうして良いのか?どこから始めて良いのかわからない…と悩んでいる経営者もいらっしゃるかも知れませんね。

名刺にもありますが、カウンセリングオフィス プログレスでは「大切な人材を守り、企業力を高めるサポート」もしております。従業員ひとりひとりの「心の健康」だけでなく、活力のある職場づくりのために取り組むメンタルヘルス対策は、生産性の向上による組織の持続と発展を支える新しい「経営戦略」です。真剣に考えてはみませんか?

カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

English Page


lgbt Ally
lgbt Ally

カウンセリングオフィスprogress

〒060-0042
札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F