カウンセリングオフィスProgress

English Page

カウンセラーブログ

トップページ > カウンセラーブログ > 「乳首の毛」にまつわる認識の「ズレ」

「乳首の毛」にまつわる認識の「ズレ」

札幌市中央区大通にあるカウンセリングオフィスプログレスの向 裕加です。

今日、久しぶりに小樽行きのJRに乗ってビックリ!なぜビックリしたのかというと、私が乗った車輌は日本人がマイノリティだったから。「あれ?ここ、日本だよね?」と一瞬錯覚を起こすほどだったんですよ。でも、雪まつりや冬季アジア札幌大会の開催日が近くなるにつれて、ますますそう感じることが多くなりそうですね。札幌を訪れるすべての人が気持ちよく滞在できるよう、一市民としてできることをしていきたいと思います。

さて、今日なんの気なしにFacebookを流し読みしていたところ、誰かがシェアをしていた岡映里さんという方の大胆なブログタイトルが目に留まりました。どんなブログタイトルだったかというと『乳首の毛で彼女と別れた人の話』!興味ひかれますよね?「えー、どんな話、どんな話!?」と即行クリックして、読ませていただきました。

詳しい内容については、岡さんのブログを読んでいただきたいのですが、ザックリかいつまんでお話しすると、岡さんが一緒に飲んでいた人が

「彼女の乳首から毛が生えているのを見つけてしまってどうしても萎えてしまい、でもそれを言い出せずに別れた」

という話。読んでいて、なんとなく先日のブログ記事『なぜパートナー関係は難しいか?』でも取り上げた、二者の間に存在する「ズレ」の話にも通じるものがあると感じました。

人間は、自分が相手に期待していることを相手がしないとき、あるいは、相手にやらないでほしいと思っていることを相手がやってしまうとき、「ストレス」に感じるものです。

彼は、きっと彼女に「乳首の毛は抜くか剃るかしてほしい」ということを期待していたのでしょうけれども、現実は、彼女は乳首の毛を抜いてもいなかったし、剃ってもいなかった。自分が期待していたことを彼女がしていなかったことが、彼にとっては「ストレス」となっていたのでしょう。これで彼女と別れることを決意したのですから、ストレスとしてはかなり大きなものだったことが窺えます。

彼女の乳首から毛が生えていたのを見て萎えてしまったというエピソードから推察するに、彼は、乳首の毛を処理していない彼女のことを「だらしがない人だ」などといった、何らかの人格的な問題だと捉えていたように思います。「だらしがない」などの人格的な問題はそう簡単には変わりません。ですから、いつまでも変わらない現実にストレスを感じ続けることになると、容易に想像がつきます。ストレスを感じ続けると人は無力感や絶望感に苛まれます。「そんな大きなストレスを抱えるくらいなら、今のうちに別れた方が良い」。そう思って、彼は彼女との別れを決意したのかもしれません。

でも、これは単純に彼と彼女の間に存在する「乳首の毛」に対する認識に「ズレ」に過ぎない、と私は考えています。というのも、彼女は別れの理由が全く理解できず、混乱から精神的に不安定になってしまった…というエピソードからもわかるように、彼女は彼から「乳首の毛は抜くか剃るかしてほしい」という期待を掛けられているとは、全く知らなかったようだからです。

彼が「そんなこと言わなくたってわかるでしょ」「これって当然のことでしょ」と思わずに、「乳首の毛は抜くか剃るかしてくれると嬉しいなぁ」とお願いしてみたら、彼女の方も「ごめん、気づかなくて!ちゃんとお手入れするね」と、思っていたよりも簡単に「ズレを埋める」ことができる可能性もゼロではないんですよね。

言葉を使わなくても思っていることが通じるのであれば、言葉が存在する必要はありませんし、自分にとっての当然は、必ずしも他人にとっての当然ではありません。伝え方に若干の工夫は必要だとは思いますが、だからこそ、「ズレを埋める」ために言葉で伝えていくことが関係性においては大切なのです。

そうやって、ひとつひとつ丁寧に「ズレを埋める」作業をしていくことが相手を理解することやパートナー関係の深まりへと繋がっていくと思うのですが、それを回避して別れを選択してしまっては、関係性は深まるどころか、いつまでたっても浅いレベルに留まってしまうことでしょう。それって、ちょっと寂しいですよね。

パートナー関係にあるといえども、「ズレ」はあって当たり前のこと。その前提を意識して、「ズレを埋める」ために言葉を発していくことに臆病にならずにいられたら、パートナーとも良好な関係性を築くことができるのではないでしょうか。

それにしても、たかが「乳首の毛」、されど「乳首の毛」…なんですね(笑)。そして、こんなに「乳首」という言葉を連発したのは初めてなもので、ちょっと恥ずかしかったりするアラフォーです。

カウンセリングオフィスプログレス
臨床心理士  向 裕加

English Page


lgbt Ally
lgbt Ally

カウンセリングオフィスprogress

〒060-0042
札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50 9F