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母と娘のゆがんだ関係を立て直すためのヒント

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

さて、昨日のブログではゆがんだ母と娘の関係性の元凶についてお伝えしました。本日は、その関係性を立て直すためのヒントをお届けします。

無意識のうちに構築される母と娘の密着度の高い関係において、娘たちは「母の愛情を素直に受けとめることができない」「母の気持ちが重い」などと、ある種の息苦しさを感じる一方で「そんなことを思う自分は親不孝者だ」「ダメな娘だ」という気持ちの狭間で葛藤を抱くようになります。

この葛藤を解消するためには、母と娘の関係を整理する必要があります。というのも、ゆがんだ母娘関係においては、母と娘の間にあるはずの「境界線(バウンダリー)」がかなり曖昧です。曖昧だからこそ、母親はまるで自分の人生であるかごとく土足で娘の人生に踏み込んで、口を出し、干渉してくるのです。ですから、しっかりとした「境界線」を引くことが不可欠です。特に、母親が抱えている問題は母親の問題である…という世代間の境界線をしっかり引くことがポイントになってきます。

昨日のブログでもお話ししたとおり、母親が娘との関係性にのめり込むひとつの要因に「夫婦間の不仲」があります。冷めた夫婦関係に向き合うためには相当なエネルギーを注ぎ込む必要なので、向き合うこと自体を避けようとする気持ちが湧いてくるのも理解できるます。でも、父親と母親の関係の溝を埋めるのは娘の責任ではないことを忘れてはなりません。

子どもが親や親の人生を支えるのは、ある意味”異常”であることを知ることは大事なことです。シリーズでお届けしていたケース(詳細は下記の関連記事を参照)では、母親のカウンセラー役を娘が担っていました。安易に満たされない母親の気持ちを受けとめることは、母親のこころを空白を一時的に満たすことはできても、根本的な問題の解決には繋がっていません。むしろ、母親の「娘さえいてくれれば」という期待を大きくさせ、真の問題に向き合う行動を妨げる要因となります。「愛情」と「しがみつき」が混同されることで、関係性のゆがみはますます大きくなるのです。

ですから、世代内で起きた問題は、その世代の当事者が主体的になって解決すべきこととして、しかるべきところに問題を返していくことが重要です。シリーズでお届けしていたケースの中に登場する彼女の弟は「そんなこと、俺に言ったってどうしようもないだろ?そんなこと、父さんに直接言えよ!」と、愚痴をこぼす母親にそう言いました。問題をしかるべきところに返すとは、まさにこのこと。言い方は乱暴だったかも知れませんが、「夫婦の問題は、夫婦で話し合いなさい」という弟の提案は実に的確な対処方法だったのです。

子どもは子どもの立場として親に接すること。子どもはあくまでも子どもであって、親の友だちではないこと。だから、子どもは親を支える存在でなくてもOKなのだ。そうやって親との関係の整理がしっかりできることによって初めて、自分の人生と親の人生に線引きすること、そして、距離を置くことが可能になるものです。

そうやって境界線を作ろうとすると、母親から「つめたい娘だ!」「私がこんなに頑張ってきたのに、あなたは私を見捨てるのね!」といった言葉をぶつけられ、抵抗されるかも知れません。でも、それは共感性の高い娘の感情を揺さぶるための作戦。惑わされることのないように、心の準備をしておきましょう。一時の罪悪感を解消するために同情することは簡単ですが、ここは流されることなく、「母親と自分にとって”いま”何が必要なのか」を考えて、踏みとどまる勇気を持つことも大事です。これは「境界線」を保ちながら、お互いを尊重して長く付き合うことができる関係性に必要な種蒔き。そう思いながら、境界線を常に意識した接し方を心掛けたいものです。

自分の人生の主人公は他ならぬ「自分自身」ですが、長年母親を支えてきた娘にとっては、人生の主人公は「母親」であり、自分は「脇役」でしかありません。ですから、親との関係性をひとり頭の中で整理することはとても難しく、壁にぶち当たることがあります。そんなとき、自分と親との関係をカウンセラーという第三者に語ることが助けになるでしょう。親との関係が言葉を媒介して「別なもの」になって自分の外に出ていくことによって、抑圧されていた感情が表現/放出され、少しずつ親の存在が収縮していく可能性があるからです。

母親を許す必要もなければ、憎んでもいい。和解する必要もなければ、闘ってもよい。折り合いをつけてもいいし、追い払ってもいい。繰り返し語ることを通して、母親を「自分の人生の登場人物」として整理することができたとき、自分が「人生の主人公」になれるのです。

カウンセリングオフィスプログレスでは、安心して語ることのできる安全な空間を提供しています。母親との関係を整理して、そろそろ自分の人生というドラマの主人公になってみませんか?あなたのドラマのストーリーの書き換えを、全力でサポートします。

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カウンセリングオフィス プログレス
臨床心理士  向 裕加

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