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「母の愛情」と思われるものの裏に潜んでいるもの その4

札幌市中央区にあるカウンセリングオフィス プログレスの向 裕加です。

ここ数年、バレンタインデーより盛り上がっていると言われているハロウィン。当オフィスが入居しているリージャスオフィスセンターよりハロウィンのお菓子をいただいてしまいました。
よく見ていただけるとわかるのですが、袋はビニール手袋なんですよ!オフィスセンターの美人受付嬢お二人の創意工夫を垣間見ることができる素敵なプレゼントに、ハッピーな気持ちにさせてもらいました。ということで、Happy Halloween!

ちょっと時間が開いてしまったのですが、シリーズでお届けしている【「母の愛情」と思われるものの裏に潜んでいるもの】。母親の愛情は娘にとっての「ホラー」になり得る可能性がある…というお話の続きです。
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警察沙汰になった実家での出来事がきっかけとなって、初めて彼女は今までの母親の言動に疑問符をつけることができるようになりました。

「『あなたたちのためだと思うからこそ、我慢もできるのよ』とお母さんは口癖のように言っていたけど、私たちよりも体裁が大切だった。結局のところ、我慢はお母さんが自分自身のためにしていたことなんじゃない?お母さんが我慢してきたのは、私たち子どもの責任?」

「『こんなことを話せるのは、あなただけなのよ。お母さんの気持ち、あなたならわかってくれるわよね。』って、よく考えるとすごいプレッシャーじゃない?お母さんに、こころの内を話せる人が私以外にいなかったのは私のせいじゃないし、私しかお母さんの気持ちがわからないというのは、単なるお母さんの思い込みじゃない?」

「呪文のように唱えられたセリフは、私はお母さん専用のカウンセラーに仕立て上げるためのものだったんじゃないのかしら?私が大学に入って家から出て、専用カウンセラーが近くにいなくなって困ったお母さんは、せめて電話で愚痴を聞いてもらおうと『あなたは楽しそうでいいわね』などと言って、私の罪悪感を刺激するようなことを口にしていたのね」

今までの母親の言動を振り返って彼女が気づいたことは、「母の愛情」だと信じて疑いもしなかったものの裏には、母親が自分を希望通りにコントロールするという意図が隠されていたということでした。最初は楽しいと思っていた大学生活が少しずつ楽しくなくなってきたのも、いつも自分のこころや頭の中から母親のセリフが離れなかったから。幼い頃から受けてきた母親からのメッセージが、知らず知らずのうちに自分の考えや行動を支配するようになっていたことに気づけなかったが故に、自分の人生でありながらも「何かが違う」という違和感が生じてきたのだということにも、ようやく彼女は気づきました。そして、自分自身の中に「自分の人生を生きている」という感覚が乏しかったのも無理はないと、初めて自分に起きていたことを理解することができたのです。それは、喉の奥にひっかかった魚の小骨が抜けたときのように、モヤモヤしていたものがストンと落ちた瞬間でもありました。

警察を呼んだことで父親がおとなしくなったことを言い訳に、その後、彼女は母親と距離を置くことを決心します。とは言え、態度を急変しては面倒なことになりそうなことを彼女は察知していたので、電話に出れるときは、いつものように電話には出ました。ただし、長くなりそうなときや母親の話に嫌気がさしてきたときは、「バイトに行かなければならない」「レポートを完成させなければならない」「大事なテストの勉強をしなければならない」などと、もっともらしい嘘をつく工夫をしました。最初は慣れない嘘に罪悪感を抱いていた彼女でしたが、罪悪感が湧いてきたときには「嘘も方便」ということわざをこころの中でつぶやいたり、「遠くにいるお母さんが私の行動を見ているわけじゃないんだから」と自分に言い聞かせることによって、罪悪感を緩和させる術も身につけました。

そうやって母親と心理的にも距離を置くことに成功した彼女は、初めて「人生が楽しい」と思えるようになり、何となくギクシャクしていた人間関係も不思議とうまくいくようになりました。依然として母親には大学卒業後は地元に戻ってくることを期待されていましたが、「お母さんやお父さんには感謝しているけど、これは私の人生。私は私の進みたい道を歩む」という強い気持ちで就職活動に挑み、無事、首都圏で第一希望だった大企業に就職することができました。今ではバリバリのキャリアウーマンの道を突き進んでいます。
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このように、一見「母の愛情」と思われるものの裏に潜む「支配」や「コントロール」という存在に、私たちは気づくことはありません。むしろ、「気づかないようにしている」と言った方が正しいのかも知れません。というのも、いたるところで神聖化されている「家族の絆」や「母の愛情」というイメージを根底から覆すコンセプトであるからです。しかし、現実は、この母娘が抱えていた問題と似たような悩みを抱えている親子(悩んでいるのは、もっぱら子どもの方ですが…)はあちこちに存在しています。

母娘問題の葛藤はなぜ生じるのか?息子ではなく、なぜ娘がターゲットになりやすいのか?そして、どうすれば、この葛藤を解消することができるのか?

次回は、その辺りを紐解いていこう思います。

関連記事:「母の愛情」と思われるものの裏に潜んでいるもの その1
     「母の愛情」と思われるものの裏に潜んでいるもの その2
     「母の愛情」と思われるものの裏に潜んでいるもの その3

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